前回も記したが、中国問題を論ずるメディアや専門家は中国の歴史や国情を相当深く研究されているはずであるが、その論評は表層的である。何故なのだろうかと考察してみても、中国当局の逆鱗に触れるのを恐れているとしか思えない。

例えば、中国で使われる民主主義、自由、解放等の言葉は日本や欧米の概念の反対の場合が多く、逆に中国側はアメリカでの政権への過激な反対運動をとらえてアメリカの言う民主主義こそ詭弁であると主張する。何故反政府活動や反政権政党の活動の自由が保障されるのが民主主義の根幹であると指摘しないなのだろうか?

 文革時代に中国に出張していたメーカーの技術者と紅衛兵との座談会で、紅衛兵が「日本の皆さんは家庭でテレビを見られるような贅沢をしているが、労働者階級の国際的連帯行動で示す意味でもアジアアフリカ諸国の労働者達への援助に回すべきではなかろうか」と指摘された時、日本の技術者から「そんな必要はない。それは彼らに不労所得を与えることになり、貴方達の言う搾取に手を貸すことになる。貧しい彼らは自分でしっかり働いて自分の金でテレビを買えばよいだけのことであろう」と反論、紅衛兵は話題を変えてしまったことがある。要は彼らの言う言葉や概念で指摘するのが、効果的であること示している。台湾問題も内政問題と中国大陸側は言い、場合によっては軍事的対応も辞さないと言うが、中国は一つだと認めることと同じ意味ではない。中国大陸側が真に民主的体制になり、台湾の人々が一つになることを認めた場合に初めて一つになれるのであって、台湾問題の最重要なことは台湾の人々の意思を尊重し、彼らの平和な生活に悪影響を与えないことを基礎とすることである。有史以来中国共産党やその政権が台湾を支配したことは一度もないことは、何度でも提起して重視させるべき基礎的条件である。

 歴史に学ぶことの重要性を中国は何度も強調してきたが、最近の中国は歴史の教訓に逆行している。中国のみならずアジア諸国は近代に至る迄、経済、軍事両面で弱体だっただけでなく国際的競合的存在であることを重視しなかった為西欧諸国に支配され、19世紀半ばより中国の香港、マカオがイギリスやポルトガルに支配されるようになったことを教訓にするのではなく、最近の中国は、昔の西欧諸国のやり方を真似している、即ち歴史の発展に逆行していることは明白である。日本との関係についても類似現象がある。それは日本各地で中国人やその代理人が日本の土地を買い始めたことであり、気付いた時には戦前あった中国での租界地の如き存在になってしまう危険性を帯び始めた。日中関係の原則の一つである互恵平等の精神に照らして、日本人が中国で認められる条件以上の優遇条件は認めるべきではない。売買ではなく長期借用にすべきであろう(法令化すべきだ)。土地問題では以前北京駐在時代に私自身日本人学校を建設する為、中国当局と交渉したことがあるが、長期借用であった(北京の東郊外の空港路の途中で確か一万㎡、95年、3億円余だった)。

  最近、日本人がスパイ容疑で“逮捕”される案件が継続しているが、私自身の経験(逮捕はされなかったが事情徴収を受けたことあり)も含めて、以前若干記したが見聞したことを含めて、近日中にレポートしましょう。

 

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