2020-5-7中国進出―中国を知る(195)中国との関係はどうなるか(8)?

60年余も昔、大学の政治学の時間に、担当教授より、「古来いろんな政治体制が存在したが、自由民主主義を超える政治体制はないであろう。然し民主主義にも欠陥はある。それは自由に表明された多数決主義であるので、多数を占める一般大衆の意向次第になるが、一般大衆は身近な利害関係には敏感だが、国全体や長期的問題には関心が薄くなる傾向に

ある。これをポピュリズム即ち大衆迎合主義と言う。この点、君達は心して社会の動向を見定めて頂きたい」と、教えられたが、正にその通りであろう。

  1. 日本の場合、国債の発行残高が年間の国民総生産高(GDP)の2倍の1,000兆円にも達しているが、かろうじて国民総資産(貯蓄や有価証券の所有高)を下回っているが危険レベルに近づいていると見るべきであろう。国債発行残高を減らす努力をしない政治家は、人気取りに走り民主主義の欠陥を増幅していると言えよう。

  2. 又戦後3/4世紀もの長きにわたり日本は平和を維持して来たが、ほとんどアメリカに依存して来た結果であることに多くの一般大衆は無関心である。自国の安全保障、即ち防衛を他国に依拠し、自ら率先して防衛しようとしない風潮は無限に続けられないことは、少し考えれば誰にでも分かることであろう。戦後安保条約で米軍の日本駐留を認めざるを得なくなった時、時の首相であった吉田茂は、「番犬を飼うことになったと思えば、いいか?!」とぼやいたそうだが、心中相当悔しい思いをしたであろう。

  3. 安全保障問題は、相対的な問題故、近隣諸国の情況と不可分の関係にあることは、少し考えれば分かることである。近隣諸国が軽武装であれば、日本もそれなりに軽武装でよいが、実情はとてもそんな状況ではない。特に中国は、1972年の国交回復時には、日中両国は覇権主義に反対すると約束したが、南シナ海のサンゴ礁を埋め立てて戦闘機用滑走路を備えた軍事基地を造成し、外地での拠点づくりに精を出し、東シナ海では連日尖閣諸島周辺に艦船を派遣している状況にある。

  4. 中国は江沢民時代からアメリカに対して、「太平洋は、中米両国が東西に分けて管理するに十分な広さがある」と公言するに至っており、日本が海洋性国家にも拘わらず、中国大陸に進出し“満州国”を作る等、大陸性国家でもあろうとした過ちを犯した教訓を生かしていない。大陸性国家である中国が、同時に海洋性国家になろうとすれば、必ず失敗するのは歴史が教えている。1960年代北京駐在時に、「ベトナム戦争は必ずベトナムが勝つ。ベトナムの国土には兵士の家族や同胞が古来住んでおり、米軍にとっては死活的な土地柄ではないからだ」と、中国国貿促の幹部から教えられたことがある。

  5. 中国は、「21世紀は情報戦、宣伝戦、心理戦次第で雌雄を決する」として、これ等を重点的戦略としているが、日本のマスコミはほとんど報道しない。特に情報戦ではロシアはKGB(ソ連時代から引き継がれている),アメリカはCIAというのが有名であるが、中国では共産党が管理運営しており、対外交流する組織には全て細胞組織があるのは周知の事実である。国内的には巨大な組織の国家安全部が情報戦を担当している。寧夏回族自治区で仕事をした時には、公道沿いに大理石で正面玄関を飾った国家安全部の立派な事務所ビルを再三目にした。

      ある中国の貿易公司の幹部より、「平和ボケしていた平安時代末期、武士勢力が急遽台頭し、同じく平和ボケしていた江戸時代から明治になると、急速に軍事大国になった。日本は油断がならない」と言われた。日中両国共に、一般大衆は国家的大事より、自分達の生活に密着した問題が主要関心事項であろうが、更に掘り下げてみましょう。 

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