コスト低減活動は、多くの日系企業で取り入れられていると思います。部門(部課係班等)毎に、目標を設定し毎月の如く達成度を点検し、更なる改善努力点を指摘しつつ進めていると思われます。ここで大切なのは:
① 自主性を尊重し、極力若手の係長か班長クラスを各部門の取りまとめ担当者にする
  ことです。部門の責任者が担当者を兼務すると、部門間の対抗意識が悪い方に出て
  脚色や水増しが生じやすくなります。担当者出席の毎月の総括会議でも若手の方が、   他の部門から素直に学び合う姿勢が強く、効果があります。
② 「飽きずに懲りずに」と言うことです。世間ではよく「トヨタ自動車は協力会社に対 して、乾いた雑巾を搾れと言わんばかりの要求をする」と、あたかも苛斂誅求であるかの言い方をされることがありますが、事実ではありません。私が商社時代に長年トヨタと交流し、更にトヨタの指導を受けた中国工場(孫会社)に勤務した経験から言えば、 「絶対に諦めず、絶えず無駄が無いか、もっと合理的方法はないか探している」と言う ことです。従って、トヨタ系列に入った会社は、グループ内協力と相俟って、赤字経営 から黒字経営に転換できているのです。③ この運動は中止してはなりません。担当者 の変更や報告様式等の変更は構いませんが、「当たり前のことを、あたかも特別努力し たかの如く報告している」とか、「数字に間違いがある」、更には「虚偽の報告を含め ている」として、糾弾したり果てにはコスト低減活動自体を中止してしまうことは、絶 対に避けるべきです。やはり<褒め殺し>です。不都合な点の指摘も、この精神で激励 しながらすることです。やる気を削いだら何にもなりません。又、顕著な成果にはきち んと表彰しましょう。信賞必罰を確実に実行し、「日本人は言葉のみ厳しい」と思わせ ず、むしろ「その反対」で対応すべきでしょう。
 ④ 関連事項として、皆さんの会社では予算管理を部門にまで下ろしていますか?
  全社的な共通経費や固定費以外の費用、例えば事務経費、交通費(通勤費以外     の)、通信費、補修費、接待費、更に部門の規模にもよるが電気、ガス、水道の使用  料金,等々極力各部門に配分し、中国人幹部に管理させましょう。全社的統一管理   よりコスト削減に役立ち、日本人上層部との信頼感醸成にも繋がります。
 ⑤ 良い成果に対しては表彰するだけでなく、社内報や掲示板を利用して大いに広報   し、全社的な刺激剤にも利用しましょう。又以前にも記しましたが、若手中心の
  総括会議では、主として褒めながら、幹部会では時には厳しく指摘しましょう。
  類似の過大報告或いは“虚偽の報告”が繰返される場合、報告材料に乏 しくなると、部門長の指示でされる場合があり、若手担当者が悪い訳ではありません。
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柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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