「幹部教育の要諦」第9項は、<企業のトップは、「言行一致」であること。「不一致」があれば、誰も信用しなくなり、面従腹背となる。又、軽率な発言は不可なり。信賞必罰を含む就業規則は厳守されているか、点検が必要。とかく日本人は「言葉のみ厳しい」と見られている。>と記しました。多くの経営者にとっては、『当り前のこと』と受け取られるかも知れません。
然し、もしその様に理解するなら、それは甘いと言わざるを得ません。殆どの中国人は、何時でも自己正当化し、自己弁護するのが習慣化しています。そこで仕事面で所期の目的が達成されなかった時には、他人のせいにします。最も“賢明”な幹部は、どうでもよい様な些細な事柄に対しては、進んで自己責任の態度を表明し責任感が強い人であると周囲に印象付けることに余念がありませんが!

やや話がそれましたが、日本人の董事長や総経理との関係では、せいぜい「理解が不十分でした」とか、「努力が足りませんでした」程度の言い訳になるが、同僚や取引先との関連では十中八九は、自分以外のひとのせいにすることは、皆さんも経験済みでしょう。そこで必要なのが、彼らに付け入る隙を与えない事です。彼等の影の言葉では、「ボスは言うことがコロコロ変わるので、本気にして取り組んでもバカらしいよ!」、「言う通りやったのに、急に方針を変えて批判されるなんて、おかしいよ。元々指示が間違っていたのじゃないか?!」等々があります。彼等は、会議等で真面目に話を聞いていない様に見えることが多いが、実はそうでもありません。法令順守が不十分なのと同様に、よく聞いた上で万一に備えて切り抜け方法まで考えていると見たほうがよいでしょう。
 隙を与えてはなりません。一貫していること、更に「信賞必罰」をしっかり適用させ、実行することが肝要です。そこで、忘れてならないのは、「手抜き」にはより厳しく、懸命に努力したが「過失、又は運悪く」成果が出なかった場合には、やや甘くするさじ加減です。更に言えば「手抜き」した者に対しても、当事者の過去の成功例や努力の成果の実例を指摘し、やれば出来ると激励しておくことです。

 会議や個別打合せでは調子の良いことばかり言いながら、影では不平たらたらで油を売っている、面従腹背の幹部の存在に「止む無なし」と言わんばかりの経営者にも会ったことがあるが、これではあまりにも“悲しい”と思う。


柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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