私のブログの最初に紹介した「幹部教育要諦」第6項では<思考力を養成しよう:香港、シンガポール、台湾、韓国が何故“四ヶ小龍”となったか?自己責任主義と大鍋飯主義(親方日の丸の中国版)の相違を教えよう。>と、記しました。
 改革開放政策が実行され、一時期は高度成長路線を走り始めたが、10年で中だるみとなり、90年代初頭、再度より一層改革開放をせよと強調されたことはご承知のことと思う。その時に、“四ヶ小龍”に学べと盛んに強調されたが、日本ではあまり報道もされず、 中国人もほとんど忘れてしまった。中国人幹部に対して、その意義を強調する必要性は今尚あると思うので、下記紹介しよう。
 当時の日本経済は、アメリカに次いで世界No.2と看做され、中国では目標としては 高過ぎるとの意識が政府首脳を含めて多くの中国人にあったと思われる。中国人から見ると、韓国を除く三つの国・地域の住民の大部分は、同じ血を引く華人であり、韓国を含めて全て人口密度が高く、資源もほとんどないが、中進国・地域のレベルから先進国・地域になろうとしている段階に見えた。追いつき追い越す目標としては、程好い対象だった。当然中国自身は潜在的には、“大龍”だとの認識は持っている。政治体制は異なるものの、これ等の国・地域では政治活動は長年規制されていたが、経済活動さえ自由化し、 大いに外資や外国技術を導入して利用しさえすれば、飛躍的発展は可能と信じられた。 数年にして、この“学び”の政策は、消化・体得され成功した様に看做されているが、  日本人の目から見ればモラルや勤労意欲の点で、まだまだと言うことではなかろうか?
 今では中国でも強調もされず、ほとんど認識もされないが、“四ヶ小龍”対象国・地域は全て、日本や英国に支配されたとの不幸な歴史を背負っている。然し、「災い転じて 福と為す」と言う訳でもないが、夫々が支配されながらも学んだことを、現代に活かしている。一方韓国は東アジアで最も儒教精神が強く維持され、今尚実生活を規制しモラル維持に役立っている。台湾は戦前から高い教育レベルを有し、日本文化と中華文明の良い所を融合しているとか、香港では英国の法的支配を長く受けた為、順法精神が強い一方、 国家的援助等ほとんど受けずにやってきたので、「大鍋飯主義」とは無縁で自立性が強い。又シンガポールは英国帰りのリークアンユーの法の支配(日常生活の細かい事柄も 規制したことで有名)と教育重視の成果が、経済成長とモラル両面で活かされている。 最近では世界的にモラルの最も高い国の一つに数えられ、シンガポール人との意識が確立されたとのこと。その他、各位の経験や知見に基づいて、幹部たらんとする者は、表面的な学習のみでは不十分なる事を大いに強調して良いと思う。今後の世界的競争では、国の大小等に関係なく、最後は大多数の人々のレベルの高さ次第で勝負が決まり、企業間競争も同様だと。

柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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