中国人と長年交流してきて、よく「日本人は本音と建前を使い分ける」と言われたことがある。
  中国人はアメリカ人同様自己主張が強いのに対し、日本人は相手の立場やその時の情勢を考慮 して軟らかく、或いは婉曲に主張することが多いので、このように言っているのです。実は私の理解では、中国人(特に為政者)の方が遥かに本音と建前を大きく使い分けています。例えば:
1.1960年代北京、上海等各地で仕事をしていた時、「人民の解放闘争や民族の独立」を支持すると何度も聞かされ、類似のスローガンの垂れ幕も沢山見ました。然し現状を見れば、中国では一般大衆の自由な意見表明や自己主張すら許されていないことは明白でしょう。
  開発の名の下に農民から土地を取り上げる状況は、幾多の闘争を惹起しています。
2.中国には少数民族の自治区が五つあるが、内モンゴル、寧夏回族、広西壮族(チワン族)各自治区は既に長年に亘る漢民族の移民により、漢民族の比率が80%を越えてしまい、一部の日本の学者が期待するような独立する可能性はないでしょう。新疆ウイグル自治区は今尚ウイグル族等少数民族の比率が54-5%あり、懸命に漢民族を移民させているが、時々民族紛争のニュースが流れて来ることはご承知の通りです。チベットは平均高度が富士山より高く、漢民族の移民政策がなかなか進展しないのが実態です。胡錦濤氏がチベットに派遣されていた時代、大半の時間を低地である四川省で過ごしたことは公然の秘密でした。尚チベット族は古来青海省や四川省にも沢山住んでいて、民族紛争が多発していることも報じられている通りです。
3.中国の憲法では(第四条)民族間の関係は、「一律平等云々、自己の風俗習慣保持の自由」と規定しているが(建前)、実態は支配と被支配の関係になっており、これが少数民族側の大きな不満となっています。前にも述べましたが、チベットの駐京代表が内々語った「独立しようとは思わないが、“北京”のやり方は、昔の日本の関東軍と同じだ。多大な援助をしたことは事実だが、結局は我々を支配しており、親と子供の様な関係であり、憲法で定める様に兄弟姉妹の関係にはなっていない」と言うことに、強い不満が残る訳です。
4.では、“北京”の本音は何でしょうか?中国の政策立案の諮問機関でもある、社会科学院のある幹部との非公式雑談の中で、「北米、中南米、オーストラリア等本来白人の国ではないが、多くの白人が移民して、現地人を弾圧、迫害して結局は白人の国にしてしまった。欧米ではこの様な歴史的事実に対して誰も批判することがないが、我が国の内政に対しては類似の情況に対して非難がましいことを言うのは、正しくない」と、不満を吐露されたことがあります。
5.以上は、中国当局のみならず、多くの中国の知識人は、国際的常識(万国公法、国際法を含め)が時代と共に変化していることを、自国の利害関係で都合よく解釈していることを示しています。植民地主義や帝国主義(拡張主義)が、時代と共に許されなくなったこと、戦争で民間人を攻撃してはならなくなった事等も国際的常識の変遷を示しているでしょう。
   以上は韓国人になると、対日関係ではより過激になることは既に例示した通りです。
  この第5項が彼等の本音であり、清朝末期のアヘン戦争(1840年)以来、100年余列強諸国に蹂躙され、自国に不利な既得権が国際的に認められている情況に我慢がならず、何としても打破したいと言うのが本音であり、離島接収を含む海洋進出や二酸化炭素排出制限を含む大気汚染防止に消極的な姿勢にも表れています。後者に対しては「、真剣に努力しないと結局は中国自身が最大の被害者になるでしょう」と指摘したことがあるが、PM2.5問題はそれを如実に示しているでしょう。 中国問題は現象的観察のみならず、その奥底も覗いてみるべきでしょう。

 
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