「敵を知り己を知れば百戦危うからず」は孫子の兵法として、マスコミ関係者等文化人や政治家なら知らない人は居ないと思われる。と言うのは、これは古今東西に適応可能な格言中の格言だからです。従い中国での常識や法律では相容れない西側諸国での価値観や法体系では不都合な中国の側面を批判しても、何の効果も意味もないことになります。
1.前回述べた如く、中国での民主主義や政治的自由は中国の憲法で許容される範囲内であることは自明です。そもそも共産主義者そのものが、国民多数により支持されようが支持されまいが、「自分達が正しく、支持しない連中は彼らが目覚めてなく、正しくないのだ」との認識に立っている訳です。日本共産党が盛んに攻撃批判する自民党の1/10程度の支持率が永年続いておりながら、国会などでの討論では恰も教師が生徒の誤りを正すような発言を繰り返すのも、その原因は同じです。彼らの信念は新興宗教と同じく支持者が多かろうと少なかろうと自分達が正しいと思いこんでいるところにあります。
2.前にも紹介した如く、文革中に紅衛兵と日本からの出張技術者との座談会で、紅衛兵が「テレビや自動車を買う金があるなら、アジアアフリカで支配者と解放闘争をしている労働者を支援したら良いのではないか?!これが労働者階級の国際的連帯ですよ」と言ったのに対して、「いや、それはおかしい。働いて自分達の金で買うべきでしょう。不労所得になり、貴方達が言う搾取になるのではないか」と反論したのは、実に的を射ていたと思われます。又中国はアパルトヘイトと言われたひどい人種差別のあった南アフリカに対する国際的な反対運動に賛同し反対したが、中国国内でのウイグル族やチベット族に対する国際的な批判に対しては、「内政干渉」だとして反撃しているが、これは二重基準としか言いようがない。全球的な国境を越えた人類の文明の発展に反しているとして批判すべきでしょう。
3.中国の政治動向を観察する時、習近平派と反対派との抗争を取り上げられることが多いが、習近平が唱える「共同富裕」の実態に関する報道が少なすぎると思われる。「共同富裕」が本当に実現するなら、彼も毛沢東や鄧小平に並び称される歴史上の偉人になるであろう。然し、実態は日本では想像できない程貧しい農民が多すぎるし、北京等大都会でも失業者が多く地下壕の如きところに住み着いている人々が多いと伝わる。是非ともマスコミ関係者には、この様な貧しい人々の動向を取材し報道して貰いたいものである。中国の政治動向は諸外国との交流や外交関係よりも、国内的矛盾の動向に拠るところが多いことに気づくべきです。
4.マスコミ関係者だけでなく多くの日本人が毒されていることに、「羹(あつもの)に懲(こ)りて膾(なます)を吹く」ところにあります。実例を挙げると日本の憲法前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」とあるが、この数十年の世界各国の動向を見れば、実態に反していることは容易に理解できるであろう。更に50年前の国交正常化協議の際に日中両国が決意表明した、「両国は覇権を求めず、如何なる国の覇権主義にも反対する」ということに、忠実に従っているのは日本のみで、日本の先島諸島周辺、ベトナムとフィリピン周辺での中国の動向を見れば一目瞭然であろう。旧ソ連に属していた国々の中独立してNATOに加盟している国々はロシアから侵略されていないが、未加盟であったウクライナが侵略されていることも、力次第だと分かるであろう。国際関係は“美辞麗句”で表明される様なことにはならず、極めて厳しい状況にあることを肝に銘じて観察し、対応すべきでしょう。
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