昨11月17日タイのバンコックで、韓国が日本に破棄を通告した軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に就いて、河野防衛相と韓国の鄭景斗国防相が会談したが、話し合いは平行線のままで終わったと報じられた。一方米国のエスパー国防長官を含む三者会談では安全保障協力を推進することは約束した由。然し鄭氏は河野氏に対して、「国防分野の話より、外交的に解決すべきものが多いので、外交的に解決できるよう努力して欲しい」と、問題点をすり替え、担当相の立場から逃げを打った。その二日前の15日にはソウルでエスパー国防長官に対して、文在寅大統領は「対韓輸出管理を厳格化した日本は信頼できず、日本との軍事情報の共有は難しい」と明言していたとのことで、これでは両国防担当大臣の会談自体あまり意味がなかったことになろう。
 この問題は、日韓両国間に存在する諸々の問題と共通する要素を含んでいるので、もう少し具体的に見ていきましょう。
 河野防衛相の「情況改善の為、韓国側の賢明な対応を求める」との主張に代表される様に、日本側の話し方は武士道精神丸出しで、抽象的な言い方で相手方の逃げ口上や問題点のすり替えに手を貸しているに過ぎないと認識すべきであろう。次の様な状況はもっともっと明確に、且つ繰り返し強調されるべきである。この点日本政府関係者も猛省すべきであろう。
1、 問題の発端は:韓国が日本から輸入した戦略物資、又は戦略物資に使用される物品を、再輸出してはならない国々に輸出し続け、2年間に亘り日本側が実務者レベルで改善するよう要求したが、改善が見られなかったことである。この点は何度でも強調すべきであるが、あまり言わない。又何故かほとんどのマスコミはこの様な、問題の根源を報道しない。実例として160品目を公表したのも、一部の雑誌社のみである。
2、 日本が対韓輸出審査を厳格化したと韓国は云うが、これも事実に反する。特別優遇措置から大半の諸国・地域に適用されている標準的な輸出事前審査に戻したに過ぎない。現在中国で現地工場に必要な物資を日本から輸入される場合、調達関係の仕事をされている日本人なら、戦略物資や戦略物資に使用されるものに就いては、日本からの輸出には、事前審査を経た後にE/L(輸出許可証)が日本政府から発行されていることはご承知のことと思います。
3、 従来、韓国政府は日本品を何処に再輸出して良いかどうかは、韓国政府の裁量権の範囲内であると主張していたとのことであるが、これも国際的なルール違反であることは明確であると何度でも言うべきであろう。全て韓国内で生産されている物資に対する輸出管理と再輸出の管理とは取り扱い方が異なることは常識の範囲内であるが、韓国政府は承知の上でこの様なルール違反をしていると見るべきであろう。
一昨年来の朝鮮半島南北接触・交流をも勘案して分析すれば、上述の「日米韓三国の安全保障協力を推進する」との約束は、口先だけであると断ぜざるを得ない。沖合の公海上で国連決議に反して規制物資を北朝鮮の船に積み替えるという「瀬取り」に、韓国船が加担している事例が時々報道されるが、この辺に韓国側の意図があると見える。即ち、建前上は日本や米国と対北安全保障協力を推進すると言うが、本音は北朝鮮への配慮を優先したいのであろう。
 約束を守るのを待つと云うような悠長なことを言っていないで、世界は宣伝戦、心理戦が横行しており、日本のようなお人好し国家は例外的だと認識し、戦略物資の横流しは安全保障協力に反すると、何度でも主張すべきであろう。次回韓国の真意の背景を明らかにした上で、対韓政策の秘策を紹介したいと思いしていきます。

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