米中両国の人々は日本人と較べると自己主張が強く、自分達の考え方や行動様式は当然と思う傾向があります。卑近な例を上げれば、多くの日本人は欧米人と見える人から英語で道を尋ねられると、一瞬うろたえてしまい、相手が多少日本語を話せることが分かると安心する傾向があります。然し中国では相手が何処の国の人であろうと、中国で道を尋ねると英語を使おうが日本語を使おうが、間髪を入れず中国語で「お前の言っていることは分からない、何処から来たのか南方人か」等と中国語で聞き返されることがあります。中国に居る人は誰であろうと中国語が話せて当然と思う傾向があり、更に多民族国家であり、中国人同士であっても地方の言葉が方言と言うよりはむしろ外国語と言う程の相違があるものです。初対面の中国人はよく「君は何処の人間だ?」とお互いの出身地を確認し合うことがあります。私自身も「お前は上海人か、南方人か」と言われたことが多々あります。

 古代文明では日本の師であり、大先輩であったが近代に至り、日本に蹂躙され蔑視されたとの思いは知識人や政権担当者程強いでしょう。従い経済軍事力の強化に伴い、中国は何かと高圧的になる傾向があり、報復したい気持ちが強いでしょう。1972年国交正常化交渉で中国側が賠償権放棄した真の理由が、日本側に負い目を負わせて置いた方が長期的には有利だとの判断であったことは以前も紹介しました。マスコミで良く論じられるように、中国政府の求心力を保つために“敵が必要だから”と言うのも一側面に過ぎません。対日態度が険悪になったより大きな理由は全中国的に見れば、社会的格差が大きく、モラルレベルも昔より悪化し、環境保護もあまり進まず、深刻な民族問題も抱えており、更に公務員や政治家の汚職もひどく、対日コンプレックスがより強くなったからです。日本が歴史を教訓としていないと額面通りに理解しようとすれば、世界的に見れば、「羹に懲りてナマスを吹く」状態を70年も続けている方が異常で、理解不能に陥るでしょう。国際的戦略ではアメリカに対抗しようとするなど、強気の政策が出されるかと思えば、昔は連携して日本等枢軸国と闘ったではないかと、呼びかける等相反する動きも出て来る訳です。4-50年前は日本国内の政治運動に対して、再三干渉しましたが、今では少数民族問題や香港問題はあくまで内政問題だから干渉するなと欧米に向かって主張しているのも、「攻勢から守勢」になっている側面もある訳で、やはり一面的には見ず、多角的に理解したいものです。

  国交正常化前から中国貿易に参画していた日本人の多くは、“左翼的な人達”でした。彼等は中国こそ搾取がなく、人々は平等で、社会福祉政策が進んでいるとして、憧れを抱いていました。その後実態が原始資本主義と言っても良いほどに変化してしまいました。長年中国貿易に従事してきたものの中には、我々が揶揄的に言うことがあるのに対して本気で、「中国は正に原始資本主義であり社会主義ではなく、日本こそ社会主義である」と言う者までいます。更に昔社会主義に憬れていた多くの日本人は、現在では中国問題や日中関係にはあまり触れたがらない傾向にあります。マスコミも同様であり、やや左翼的な新聞雑誌は中国の現地報告が少なく、現在の中国問題をあまり取り上げません。この辺の事情を次回更に紹介しましょう。

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