暫く教育シリーズを休んでいましたが、一つ重要なことを思い出し、紹介する次第
です。現在2020年開催オリンピックの東京招致活動が続けられていますが、都知事が競争相手のイスタンブールを揶揄するが如き発言をしたとして、批判されました。
 自社製品を宣伝する場合、自社製品の特徴や優秀さをアッピールするのは当然ですが、
同時に競争相手の製品の欠点をあげつらうことがあるものです。特に中国人営業マンは
この傾向が強いので、要注意です。私は35年間も長きにわたり商社マンとして、機械設備の輸出の仕事をして来ましたが、先輩より次の如く指導を受け、その通り実施すると共に、後輩達に伝承して来ました。
「一流の営業マンは決して競争相手を批判したり、競争製品の欠点を指摘したりしない。むしろ、彼等が自慢している点を是認した上で、ユーザーの求める機能や性能を事前に
調べ、我が社扱いの製品こそユーザーの求めに一番適合している点を、客観的データを以て極自然に紹介すべきである。時にはユーザーの導入計画が実際的でないと判明した時には、購入計画自体の中止や変更を勧めても良い。要はユーザーの立場に立って対応することだ」と言うものです。
 実際にこの様に立ち居振る舞うのは容易ではありません。販売目標やノルマとの関係で時には、気持ちとして前のめりになってしまうからです。
 以前にも若干紹介したと思いますが、長年付き合った中国の国営貿易公司のある優秀な担当者は、検討中の購入先夫々に、競争相手の製品との比較表を作って提供せよと何度か要求しました。この貿易公司は幾つかの比較表を受け取った後で、比較表を更に比較して最終的に何処から購入するか決めると言っていました。この様な比較表作成に当たっても、当然ながら上述の先輩助言は考慮しました。

 一方今でこそ、沢山の中国人が海外に出向くようになりましたが、以前は余程の強い必要性がないと、保有外貨が少ないこともあり、調達に関与する人達は海外に出られませんでした。そこで、設備の輸出契約書に研修生の受け入れ条項を入れ、最終ユーザーの操作技術者だけでなく、所管する役所スタッフ、貿易公司の担当者や時には銀行マンも招待し次の設備導入の前宣伝に活用しました。

 現場主義:大口ユーザーになる可能性ある客先には担当幹部にユーザー工場を見に行かせると共に、時には日本人担当者にも行かせました。与信限度の見極めの困難な中国では、現場に足を運び下見することは大変重要です。中国の幹部や知識人には現場主義をおろそかにする者も多いので、意識して注意する必要があります。勿論中国で製造された設備導入に際しても、製造工場のみならずそのメーカー製品の購入使用先も見分して、仕様通りの性能か、故障の有無や頻度、アフターサービスが良いかどうか等確かめる必要性は、論を待ちません。

お願い:私のブログに対し、ご意見やご異論、ご遠慮なくお寄せください。
「参考になるとか役に立つ」とのことでしたら、お知り合いにもお奨め下さい。

柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
       http://www.consultanto-blog.com/yanagizawa/
Mail add: knhr-yana@jcom.home.ne.jp