「個人消費に変調の兆しが見えている」

自動車販売で予想されていたエコカー補助金の駆け込み需要が発生せず、

小売業の夏商戦も振るわない結果に終わったとの新聞報道が目立つ。

レジャーなど引き続き好調な部門もあるが、

電力料金の引き上げ、2年後の消費増税などの負担増が、

消費心理に影響したとの見方もあるようだ。


8月の大手百貨店5社の売上高は4社が減収になり、

都心百貨店の宝飾品売上が8月には減少に転じたと公表。

8月の猛暑で増収を見込むコンビニやスーパー、

円高で海外旅行の売上を伸ばす業種もある。

国内のお盆休暇期間中(11日~19日)の行楽レジャー消費や

スーパーの売上は全体的には好調だった。

消費者は一定収入の中で普段の消費を引き締めながら、

消費を集中させる「選択スポット消費」が主流になって来ている。


海外の欧州では仏カルフールや独メトロなど小売大手が相次ぎ最終赤字を計上した。

欧州の債務危機の影響がドイツやフランスまで広がって来ており、

欧州小売最大手のカルフールが発表した2012年1~6月決算は

営業利益が8.2%減で最終損益は3100万ユーロの赤字決算を出し、

最大600人の人員削減を実施すると発表した。

五輪で期待された英においても英産業連盟が実施した調査では、

小売業の販売量が前年に比べ「減った」と回答した企業が「増えた」より多かったと公表。

オリンピックは盛り上がっても、ショッピング街には届かなかったようだ。


国内では製造業の工場閉鎖等で空いた土地の活用で、自治体が大型店の出店規制を緩め、

大手のセブン&アイやイオンの大型SCの出店が加速しそうだ。

セブン&アイは大型SCアイオを2015年までに現在より6割多い20店に増やす。

イオンも同様に14年度までに2割強の出店増を計画している。

大型SCは多彩な店舗が出店する為、巾広い消費者を集客出来て、

外部テナントからの安定収入が見込める。

又、雇用促進効果もあり地域の活性化が期待出来ることから、期待出来そうだ。


内閣府の規制緩和委員会は米国産の牛肉に対する輸入規制を緩和する評価案に合意した。

BSE対策で「20ヶ月」として来た制限を「30ヶ月以下」にした場合、

リスクの差は非常に小さいと評価した。

これによって、外食業界では品質の良い牛肉が安定的に確保出来るとして、

業界の消費離れを止めることにつながると、早くも商品開発を進めている。


西友は2013年中に食品・日用品など1000品目を約5%値下げする。

親会社で世界最大のウォルマートと商品調達で連携を深め、

コストの引き下げ、売価の値下げで強まる消費者の節約志向を取り込む。

西友のEDLP政策が除々に評価され、付随するスーパーも見られるが、

西友のように仕入れ面などでコストダウンが出来なければ続かない。


「ほっともっと」のプレナスは

主力弁当の海苔弁当¥320、のりタルタル弁当¥340など3品を

昼のピーク時に値下げして販売する。

何故、一番の稼ぎ時に値下げするのか、値下げしないと売れないのか、

西友と同じようにコストダウンが出来て、消費者に還元するのか。

一番危険なのは商品の売れ行き不振で値下げする事。

商品内容が消費者に認められないから更に値下げする。


生協のコープこうべは豆腐や総菜など冷蔵日配品の発注を自動発注システムに変更する。

自動発注はグロサリーなどの活用が多くあるが、

需要予測変動が大きい総菜やパン、豆腐などは難しいとされていた。

従来は過去のデータや担当者の予測を加えて発注していたが、

担当者によるブレが大きい為、自動発注に変更するとした。


イオンは今月、次世代幹部を育てる為の企業内大学「イオンDNA伝承大学」を開校した。

国内外で働くグループ各社の従業員から公募を募り、

岡田社長初め各経営者が講師になって、1年をかけて企業の中核を担う人材を育成する。

過去のケーススタディや新規事業、M&A等、

様様な課題についてディスカッション方式を中心に学ぶと言う。


今後の店間競争において、

消費者に支持される商品と売場づくりをするのは店のパートを含む従業員自身であり、

従業員一人ひとりのレベル・仕事に取り組む姿勢が勝敗の分かれ目になる。

企業が従業員の能力をどこまで教育出来るか、引き出せるかが鍵になり、

それを諦めた段階で店舗の競争は決まって来る。

それは店規模の大小、新旧の問題ではなく、人の問題だから小売業は面白い。


今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司