「消費者物価に上昇の兆しが出て来た」

総務省が31日に発表した消費者物価指数は、

東京都の5月中間速報が生鮮食品を除くベースで0.1%上昇した。

家電製品の値下がりが一服し、衣服や身の回り品が値上がりしたことが大きく、

食品においても主要80品目の内、41品目が3カ月前より値上りした。


特に大豆原料の食用油が7%の値上げから、マーガリンやマヨネーズなど

加工食品に価格の上昇が広がった。

製油各社は7~9月期にもう一段の値上げが必要との見方を示している。

来月の丑の日を控えて、鰻の相場が高止まりしており、

2月にはニホンウナギが絶滅危惧種に指定され、

昨年末から今年春にかけて養殖業者が池入れしたシラスは前年より25%少なく、

今年の丑の日、鰻蒲焼は昨年以上高値販売となりそうだ。


日経MJ消費者調査発表によると、ここ2~3カ月の価格について、

・光熱費、ガソリン、野菜や加工食品や日用品についての

 値上げを感じている人が多く、3割に人が今後値上りはやむを得ないと答えた。

その中で、4月の収入は増えたと答えた人は20%、減ったと答えた人は24%で、

消費者の所得が増えていない中の値上りは、今後の消費にも影響が出そうだ。


逆に値下げの代名詞的牛丼の値頃感について消費者は

「満足」と答えた人は前年の11年より3%低下し、

客数は前年より6.1%減少し、牛丼各社の値下げに消費者は慣れてしまい、

商品を値下げしても価値観がアップしていない事は、

消費者の価格意識に変化が現れて来ている。


これに対して牛丼大手の危機感は大きく、異業種の拡大を急いでいる。

・ゼンショーは「はま寿司」の出店を大幅に増やし、今期末に500店舗とする。

・松屋フーズはとんかつ店の出店数が牛丼店を上回る。

・吉野家も寿司の「京樽」やステーキ店の前期に比べ6割拡大する。

牛丼の値上げは出来ない中で、高単価飲食を拡大する事で客単価を上げ、

景気回復、消費回復のメリットを狙う。


日経MJの消費者1000人試食調査で

小売大手2社の高級PBがNBより美味しいとした結果が出て、

消費者は価格は高くても、それ相当の価値観があれば買うとの意見があった。

しかし、普段用に買いたいという意見は2割前後であり、

消費者はTPOに合せて商品を使い分けて行く姿勢が強まりそうだ。


大手外食企業が食材の質を高めたメニューを取り入れ、

客単価を上げ競争が激化する中での商品政策を変更する動きが出て来た。

・コロワイドのピザレストランはピザ生地をクリスピータイプから

 モッチリ食感のナポリ生地に変更する。

・7&Iのデニーズはパスタに使用する麺を乾麺から生麺に切り替える。

・又、メニューの中でシニア向け料理を増やすという答えは

 全体の24%を占め、減らすはゼロだった。

これは景気回復を予測した消費者意識の変化と

来年の消費増税を睨みながら、「価格」と「味・品質」の引き上げを狙っている。


本格的な消費回復は今年年末から来年夏にかけてになるかどうか?

・大手百貨店」は2013年の店舗改装投資を増やす計画が目立つ。

 Jフロントリングは前年比25%増の160億円、

 高島屋は同14%増の145億円、

 各社は高級ブランド品や高価格帯の「デパ地下」の食品を刷新する。


・カフェチェーン各社も店舗改装を加速する

 スタバは今期全店の3分の1を改装し、居心地を良くした新タイプに変更。

 ドトールも同様に座り心地の良いソファを増やすなど新型店に改装する。

それぞれコンビニとの競争に対して、差別化を狙って集客を図る計画だ。


小売り・サービス業は、半年遅れの消費回復が一歩ずつ前に進む中で、

それぞれの生き残りを目指して、差別化政策を強化して来た。

日常品中心の食品スーパーもゆっくりとしてはいられない。


今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司


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