「今期、経常利益が過去最高益を見込む」

上場企業の3月決算発表の中で、14年3月期はおよそ6社に1社が最高益を予想する。

円安ドル高の恩恵を受けるのは輸出型企業だけでなく、

内需拡大をうまく取り込む企業で収益拡大を予想するところも多い。

紳士服販売大手のAOKI・HDは「洗えるスーツ」など機能性を追求し、

9%の増益を見込む。

その他、鉄道会社やオリエンタルランドなど娯楽・レジャーの拡大を期待する。


一方、小売業の前期2月決算発表は増益企業が半減し、

特にスーパーの価格競争が厳しい結果となり、

値下げアイテムを増やしたが販売数が伸びず、客単価が落ちた。

今期は来春の消費増税を控えて、

既存店が伸び悩んでいる中で各社は出店を一段と増やし、

増税後の消費落ち込みに対し新規出店と既存店改装で対策を急ぐ。


景気回復を収益に取り込む為に、各社攻めの戦略が活発になって来た。

・西日本が地盤のイズミは市場規模に応じた新業態のショッピングセンター

 「ゆめモール」を出店し、今後は主力業態として出店する。

 出店余地が少なくなる中での、商圏人口15万人を対象にするタイプ。


・首都圏、関西中心のエースは既存店より小型の売場面積50~80平方mの

 「フーズブテック」を3年間で100店舗を開く計画。

 PBや総菜、全国のご当地食品や輸入品を重点的に品揃えし、

 コンビニや食品スーパーとの違いを出した店づくりを行う。


・DSのMrMaxは食品中心の新型店「セレクト」の展開を開始する。

 売場面積は2500平方mと同社主力店舗の3分の1程度で、

 取扱い品目は2万と約半分で生鮮や日用品を重点的に揃える。


・首都圏が地盤のサミットは既存店の改装を前年の3倍の14店舗実施、

 商品の陳列や販売方法についてまとめ買いを誘う関連陳列や、 

 商品づくりに一手間加えた価値ある商品を強化する。


・スターバックスが住宅街に高価格店の新型店を出店、

 コーヒーの価格は従来より2割程度高く、焼き立てパンやワインも提供し、

 団塊世代を中心にしたシニア層が増加している点に注目した店舗を計画する。


個人消費は着実に回復しており、

多様化した消費者ニーズを取り込むべく、店舗規模や商品構成のタイプを増やし、

積極的な出店によって供給の拡大を目指す。

しかし、出店だけでなく独自の商品開発やリニューアルによる商品力強化、

来店したお客様に1点でも多く買ってもらう為の販売力が

小売業の収益拡大の鍵になることは相違ない。


政府は消費増税時の小売企業のセール表示に関する統一見解をまとめ、

「消費税」の文言を含まない表示は容認するとした。

従って「3%値引き」などの表示は可能になるが、

通常価格の表示方法は内税・総額表示であるが、

今回は特別措置法で外税表示方法や「100円(税抜き)」などの表示が可能になる。


消費者の視点では総額表示が分かりやすいし、

小売りの視点では税金は別にして本体価格が分かるようにしたい。

ポイントを使用している家電量販店は総額より本体価格にポイントを付けた方が良いし、

企業毎に表示が異なることは消費者の混乱を招くことになり、より深刻だ。


又、スーパー各社のPBは増税を価格に転嫁しない雰囲気が強い。

しかし、前期の減益反省でもあるように増税分が粗利益を削るようでは

小売業の発展は薄いのではないだろうか。

今、求められるのは経済発展と消費回復に沿った、

消費者のウォンツを見出した商品開発と販売方法がより大切な時代だ。


今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司