多摩ニュータウンで、23棟の団地が一括して建替えることになった。8割以上
の賛成があれば足りるが、9割以上の賛成で建替え決議が可決されたそうだ。

 現在5階建てのマンション23棟が、11階建てと14階建ての7棟の団地に変
わるようだ。そして、640戸が1200戸に増える。この増えた分を売却して事
業費に当てる計画だ。

 このマンションにはエレベーターがなく、高齢者にとっては大変住みにくい状況
でもあるようだ。増えた分が売れれば、従来の広さであれば住民の負担はなくなる。
このような状況で、住民は、大規模修繕よりも建替えを選択した。

 この団地はいわゆる公団住宅といわれるもので、敷地にかなりの余裕があり、容
積率の点でもこのような高層住宅にして部屋数を増やすことができた(実際には国
や自治体に掛け合ってこのような建物が可能になるように管理組合の役員が努力し
たそうだ)。

 この団地の建替えは、全国で高齢・老朽化した建替えに悩む団地のモデルケース
として注目されると言われている。

 確かに、増えた分が全て売れて、住民に金銭的な新たな負担がなければ、2年間
転居する不便とその分の出費(当初建設会社がその費用として500万円を負担す
ることになっていたが、リーマンショックでそれができなくなったと住民が話して
いた)を考えても、住民は我慢することができるかも知れない。

 しかし、敷地に余裕がなければ容積率との関係で部屋数を増やす高層住宅にはで
きない。例え、それが可能であるとしても、増えた分が全て売れるとは限らない。
売れ残った分を区分所有者が抱え込み、建設費を区分所有者が払い続けなければな
らない場合だってありうる。

 場合によっては建替えも良い。しかし、建設会社の口車に乗って建替えたものの、
売れ残った部屋を抱え込み、建設費の返還に苦労しているマンションもあるのだ。
よっぽど条件の良い場所でなければ完売することは難しい。

 新築マンションと異なり、建替えの場合には、元の区分所有者が組合を作り建替
えの施行者となり、建替え事業を行い、完成したマンションの売主になるはずだか
ら、売れ残ったリスクを負うのは区分所有者だ。再建マンションの請負人となる建
設会社にとっては大変おいしい話しだ。

 コンクリートに海の砂を使用しその処理が十分でなかったとか、コンクリートが
十分固まる前に次の工程に進む等の、不適切な工事でない限り、コンクリートは、
100年ぐらいは軽く持つといわれている。

 40年や50年ぐらいで建替えるというのは、非常にもったいない。建替えの間
マンションを離れるというのも、高齢者にとっては非常に大きな負担だ。

 大規模な修繕と、リホームによって快適なマンションライフが実現できる。エレ
ベータも外部に取り付けることができる。バリアフリー化の一環として国や自治体
の補助も検討すべきであろう。

 建設会社にとっておいしい建替えに飛びつくのは、くれぐれも慎重にしなければ
ならない。

 ※一般社団法人エースマンション管理士協会のホームページhttp://acemansyonkanri.law.officelive.com/

http://ping.blogmura.com/xmlrpc/4i320vqvtdpv
にほんブログ村 住まいブログ マンション管理へ
にほんブログ村