小売店や外食で年末商戦に入り、値下げの動きが広がっている。

・イトーヨカ堂は12月1日から全店で約1000品目を値下げする。
  
 同社の全店値下げは2009年春以来の値下げになる。

 食料品約800品目、日用品約200品目を1~4割を下げる。


・ニトリHDは11月30日から約870品目を1~4割を下げる。

 同社も大幅な値下げは2010年10月以来の2年ぶり、


・「すき家」のゼンショーは5日から全国で牛丼を30円値下げ

 値下げキャンペーンは4月以来で、(6日間限定)

 10月から吉野家が¥250の新業態に対応した値下げだが、

 これに「松屋」も続く可能性はある。


値下げとは異なるポイント還元で販促を始めるのは

・ダイエーが12月から「単品ハートポイント」として

 食品など平均で通常の20倍前後のポイントをつけて販売を始める。

 値下げで動員したお客様に1点でも多く買ってもらう為に単品ポイントを付けた。

 しかし、ポイント還元も最終的に利益から差し引かれるのは値引きと同様だ。


・スーパーの値下げ合戦で先陣を切った西友の7月~9月は客数が1.7%減と拡大、

 客単価も0.2%減って既存店売上は前年比1.9%減の営業赤字に転落した。


小売り、外食業界が値引き合戦に入ったが、値下げ効果はどうなのか?

消費者は値下げした時の刺激はあっても、時間経過と共に慢性的になり当り前になる。

これがデフレとして過去20年間続いて来た事実を考えなければならない。


出店戦略において、小売り・外食サービス業で小型店化が加速している。

・イオンは首都圏で小型スーパーの店舗網を広げ、13年までに

 売場面積が150㎡で約2000品目をスーパー並みの価格で販売する

 「まいばすけっと」と

 売場面積250㎡で品揃えは約1300品目と絞って、

 競合より低価格で競争する「アコレ」の出店を合せ、2倍の700店に拡大する。

 しかし、両店共に黒字化には至っていない。


・スタバは低コスト運営の小型店出店を始め、

 従業員や面積を標準店の約半分に押さえ、品揃えも絞り、

 運営費用を削減した店づくりを、都心のオフィスや駅中に出店する。

 入れ立てコーヒー市場はコンビニの店頭で扱う店舗が増え競合が始まった。


コーヒー喫茶店はスタバのようなセルフサービス店が拡大しているが、

逆にフルサービスを強化しようとする店づくりもあり、

・ルノアールはキーコーヒーと業務提携をして、

 店舗情報交換や人材交流を緊密化し、シニア層獲得のフルサービス店を拡大する。


又、小売り・外食業不振の影響はメーカーへと拡大し、戦略転換を迫られている。

・キューピーは42億円を投じて、総菜などに使う卵加工品工場を新設する。

 相手はコンビニ向けで、コンビニは弁当やサンドイッチなどの卵加工品需要が旺盛。

 コンビニはスーパーのような特売はなく、販売価格は安定しており、

 値下げの圧力は少なく利益性は高いと判断している。


・セブンイレブンが相手のわらべや日洋は、13年2月までに和菓子工場を増設し、

 生産能力を2倍に拡充する。

その他、マルハニチロは焼そばなど、ニチレイは鶏惣菜、味の素はおにぎり工場など

コンビニ向け商品生産の強化を始めている。


値引きで売上アップを狙うスーパー、

店頭の商品入れ替えを頻繁に行い、消費者ニーズを取り込むコンビニ。

セブンイレブンの場合、標準的な店舗の2900品目の品揃えの内、

1年後に店頭に残っている商品は3割にとどまるという。


値下げによる消費の先食いはテレビや自動車だけでなく、食品でも同じだ。

人口が増えない中で、人の胃袋は大きくならない。

目先の売上を狙う値下げ戦術に惑わされてはいけない。

値下げ経費を店舗と商品リニューアルにかけ、

いかにして消費者ニーズを取り込むか、に知恵を絞る時だと思う。


今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司


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