世界の製造業の景況感が底入れの兆しを見せている。

企業の直近の受注や売上を集計した購買者景気指数(PMI)では

世界全体では2011年11月を底に、1月まで連続して改善して来たと報じている。

(英調査会社マークイット社)

米国や中国、ユーロ安の欧州のドイツでも下げどまりつつあると言う。

日本においても、11月・49.1から12月・1月と指数が50を上回って来た。


又、内閣府の発表による1月の景気ウオッチャーは前月比2.9ポイントダウンしたが、

2~3カ月後の先行き判断指数は前月比2.7ポイント高い47.1となり、

7ヶ月ぶりに改善したと発表した。

東日本震災後の復興需要へ期待が高まり、この先も特需が続くと見ている。

製造業の業績が上向き、それから小売業へと利益循環が出て来るのは

今年の夏くらいになるかも知れない。


そこまで待ってはいられないと、大手のイオンはアジアと小型店舗業態へと出店に拍車をかけている。

イオンは中国・山東省に1月14日、海外100店目のショッピングセンターを開店した。

開店日は店内を歩けない程、お客が殺到しているようだ。

イオンは中国と東南アジアに本社を設置し、出店スピードを上げると報じている。


又、中国政府は8日に2015年までの5年間に最低賃金を毎年13%上げると発表。

最低賃金が5年間で2倍近く引き上げられる計算になり、日本ではうらやましい限りだ。

最低賃金の引き上げにより国民の購買力が向上する為、小売業には追い風が吹き続ける。

日本から撤退した、仏カルフールも仏国内の不振、中国の好調を背景に、

中国・東南アジアに出店スピードを上げる。

カルフールは1月に同社の主力である新型ハイパーマーケットの展開を縮小すると発表。

先進国においてハイパーマーケット業態がすでに過去のものになっているようだ。



又、イオンは国内で小型食品スーパー「まいばすけっと」の出店スピードを上げ、

2012年に160店、13年には600店舗にする構想を発表している。

国内の人口減が進む中、地方から東京への流入が進み、

東京都の人口は10年から20年にかけて1.4%の増加を見込んでおり、

都心には出店余地が沢山出ると見ている。

CVSの出店計画も多く、「まいばすけっと」はコンビニとの競合に対して

生鮮食品の品質と価格に磨きをかける必要がありそうだ。
  

首都圏のドラッグストア各社は生鮮食品の販売を強化する。

パパスは昨年から青果の取扱いを始めているが、

更に客数増を狙って店舗規模を見直し、鮮魚、精肉の取扱いを始める。

その他、CFS・COの「れっこず」や住商ドラッグも米飯や生鮮の取扱いを充実させる計画だ。


国内食品小売り業界はスーパーは食品スーパーを中心に

コンビニとドラッグストアの三つ巴の競争になりつつあり、

日常品はどこで買ってもあまり変わらない状況になって来る。

その中で、消費者から自店に足を運んでもらうために、チラシ合戦の時代は終わりつつあり、

商品の品揃えとサービスで自店の特徴を出す時代になって来た。


この課題に対して真剣に検討しているスーパーはまだ少ないのではないか。

一部門だけでなく、各売場が揃って自店の狙う消費者と自店らしさをどこに求めるのか、

その為に売場、品揃え、価格帯、サービスレベルをどうすべきか、

これからの3年間、この課題を明確にした店舗が生き残る時代に入って来た。


今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司


その他、興味のある方は: http://www.asahi-kikaku.net