この度、住宅エコポイント制度ができたが、ポイントの発行申請期限が来年の3
月31日(ポイントの交換の申請期限は平成25年3月31日)と短く、ボヤボヤ
していたら、すぐに経過してしまう。

 ここでは、マンションのリホームに限定して見る。細かいポイント数や期間など
はリーフレットなどを見ればよい。マンションについては専有部分と共用部分があ
り、その区別はどうなっているか。例え専有部分であっても勝手に工事ができない。
ましてや共用部分の工事は総会の決議が必要である。

 マンションの住民にとってエコリホームをするには、どういう点に気をつけなけ
ればならないか、どこまでの工事ができるかが一番知りたいところである。以下こ
の点について見ることにする。

 マンション標準管理規約(単棟型)の第17条によると、区分所有者は、その専
有部分について、修繕等を行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を申
請し、書面による承認を受けなければならないとされている。具体的には、床のフ
ローリング、ユニットバスの設置、エアコンの設置、配管(配線)の枝菅(枝線)
の取付け・取替え、間取りの変更などである。専有部分であっても勝手には工事が
できないとしているのだ。

 そして、共用部分の変更については、その形状又は効用の著しい変更であれば、
区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数決が必要だ。ただし、玄関のドアを
取り替えるような軽微な変更であれば、過半数の決議で足りる(区分所有法17条1
項)。

 それではエコポイントの対象となっている「窓の断熱改修」と「外壁、屋根、天
井又は床の断熱改修」におけるそれぞれは、専有部分か共用部分か。
 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分は専有部分とされている。窓枠及び窓ガ
ラスは、専有部分に含まれないとされている(標準管理規約7条)。

 先に見たように、専有部分の断熱工事をする場合には、理事長に申請し、承認を
得て工事をすることができる。共用部分の断熱工事は、総会の決議がない限りでき
ないということになる。

 今回のエコポイントで最も現実的で効果的な断熱工事である「窓の断熱改修」工
事について以下で見ることにする。

 窓枠及び窓ガラスは専有部分に含まれないから、これらを取り替えるには総会の
決議(過半数)が必要となる。ただし、新たに「内窓」を設置する断熱工事もある
が、これは、専有部分であり、総会の決議は必要でなく、理事長に申請してその承
認を受けて工事をすることができる。

 ただ、「板硝子協会」の話しによると、窓枠はそのままにして窓ガラスだけの取
替えをする場合にも、総会の決議がなくても工事ができるマンションも多いという。
規約に定めているか、規約に定めがなくても、長年の慣習として確立しているので
あろう。

 窓ガラスだけの交換であれば、工事も簡単で費用もそんなにかからないし、断熱
性能の高いエコガラスが開発されているので、それに交換するだけでかなりのエコ
効果があるそうだ。このようなことを考慮すれば、窓ガラスだけの交換について、
理事長に申請するだけで足りるとする制度は合理的だ。

 従来から窓ガラスだけの交換についても、総会の決議が必要としていたマンショ
ンにおいても、「エコポイントが適用される期間内の窓ガラスだけの交換」は理事
長に申請して工事ができるとする総会の決議をしておく必要があるのではないか。

 折角できた制度を最大限利用して、快適なマンションライフができることを進め
るべきだ。あれこれと屁理屈を付けて、折角の機会を無駄にすることのないように
してほしい。柔軟に対応してほしい。

 ここで注意してほしいのは、窓ガラスの変更によって、それぞれが勝手な色にし
て外観が変わることのないようにしなければならない。従来の外観と変わらないと
いう条件の下で、理事長はその取替えを承認すべきだ。

 「窓の断熱改修」又は「外壁、屋根、天井又は床の断熱改修」と手すりの設置
(浴室、居室、廊下)や段差解消等の「バリアフリー改修」を行う場合には、エコ
ポイントが加算される。室内である限り、専有部分がほとんどであり、同時に検討
してはどうだろう。

 エコポイントの申請に必要な書類は、ほとんど工事業者が取り揃えてくれる。ポ
イントの数も業者が教えてくれる。申請書の書き方も教えてくれる。事前に業者と
十分話し合ってから工事の請負契約をしてほしい。

 マンションの場合、もちろん個々の区分所有者がエコポイントの申請をすること
ができるが、管理組合(法人でない場合には、理事長)が、複数をまとめて、一括
申請もできる。共用部分のリホームの場合には、一括申請の方が合理的かも分から
ない。

 住宅のエコポイントの制度を創設する場合、戸建であろが、マンションであろう
が、変わりなくエコポイントがつくようにするのが制度の大前提である。そこで、
マンションの場合、多くは専有部分のみの改修で目的が達成できるようになってい
る(だからこそ住宅版エコポイントを創設したとも言える)。

 しかし、マンションの場合にはどうしても共用部分というものがある。戸建のよ
うに自由にできない面があるのは仕方がない。共用部分である屋根や外壁はマンシ
ョンのリホームではほとんど考える必要はない。一番の問題は先に述べた窓の問題
である。

 管理組合(理事)は、制度の趣旨を十分理解し、ガラスの交換については、くれ
ぐれも柔軟に対応し、エコリホームをしようとする住民の意欲をそぐことのないよ
うにしなければならない。

 窓のエコ工事をした結果、光熱費の節約のみならず、冬でも快適な暮らしができ
るようになった(風邪をひかなくなった)という人の話しを聞いたことがある。高
齢者にとって、少しでも快適な暮らしができることを望む。

 私は、決してガラス業者の回し者ではありません。

 ※一般社団法人エースマンション管理士協会のホームページhttp://acemansyonkanri.law.officelive.com/

http://ping.blogmura.com/xmlrpc/4i320vqvtdpv
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