昨秋成立して三年後に施行される「貸金業法」について、一介のコンサルタントとしての見解を述べたい。

従来より、日本には、貸金業について定めた法律は「出資法」と「利息制限法」の二つがある。利息制限法では金利は年率15%から最高でも20%まで。
一方、出資法での上限金利は年率29.2%となっている。ちなみに1983年までは出資法の上限金利は年率109.5%、7年前までは40.004%の金利を、借入している人が任意に支払いしたという条件はつくものの、正規サラ金会社は合法的に取ることができた。
出資法と利息制限法の上限金利の間がいわゆるグレーゾーン金利と言われるもので、サラ金会社はこの制度により、長年に渡り巨額の利益を得ていた。

今回の法律は、出資法の金利を引き下げ、利息制限法の金利と同じにするというものだ。

これだけを見ると良いことだらけだと思うかもしれないが、果たしてそうだろうか?
この法律が施行されるまでの三年間の間に、全国のサラ金会社の約八割が大手へ吸収、合併、又は廃業に追い込まれると言われている。
「サラ金の数が減っても、金利が安くなるならいいじゃないか!」
ところが、そう簡単な問題でもない。
この法律で一番喜ぶのは、殿様商売の銀行。それとヤミ金や詐欺師達。

二割程の生き残ったサラ金会社や個人貸付に力をいれだす銀行に、全国の利用者は押しかける。
金利を下げられたサラ金会社は今までのように、「その場で簡単らくらくキャッシング♪」なんていうのは難しくなり、今より確実に厳しい審査基準が設けられることは明白だ。

雨の日には傘を貸さず、晴れの日に傘を差し出すといわれる日本の銀行。
1%にも満たない安い利息でカネをかき集めているんだから、安くなったとはいえ、利息制限法の金利でも銀行に取っては十分においしい。
しかし、世間体を気にする銀行に、サラ金会社みたいな金融屋の伝家の宝刀「債権取立て」のすべは持たない。
サラ金市場に流れていた安全パイへの貸付が関の山。もしくは大手サラ金会社との業務提携。どちらにしても銀行にはおいしい。

要は、莫大な利益を上げてきたサラ金市場に、世間の批判をサラ金業界に集中させて、銀行が体よく入り込み独占したいがための法律だと言えるのではないだろうか。

銀行や大手サラ金の審査に溢れた利用者達は、今より進化し増殖した新手のヤミ金へと向かうしかない。ヤミ金たちに取っても客は選り取りみどりだ。またその周辺にはこれまた新手の詐欺師たちも巣くうことだろう。世で盛んにいわれている「負組」には厳しい現実がまっている。

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