中国の経済状況が悪化しているとの報道が多くなっている昨今だが、掘り下げが足りない。
以前最も貧しい貴州省の一人当たり収入は上海の一割程度と言われたが、20年余前に私が仕事の関係で頻繁に訪問した山西省吉県では、もっとひどかった。都市近郊の農村の豊かさが再三報道されたが、中国全体では人口の半分以上が農村で、その貧しさは普通の日本人には想像もつかない程である。逆に言うと観光で日本に来た中国人がたまたま日本の辺境に行った時、見聞した日本人の生活状況が都市部と大差ないことに驚いている。広大な中国の農村地帯をもっと取材し報道して頂きたいものである。
   中国経済の減退を論ずる時、高層ビル建設への過剰投資の情況が報じられているが、工場用地整備投資への過剰さに就いても取材・報道して頂きたいものである。20年余も前ではあるが、仕事の関係で3年間滞在した寧夏回族自治区では中心都市の銀川の東西南北夫々に外資導入予定地として、整備が進んでいたが、この外資と言うのは外国資本との意味ではなく、当自治区以外の富裕な地域を指すとのことで、計画通りに進展すれば、10倍以上の経済レベルになりそうであったが、現状は如何なものだろうか?どう考えても思惑通りには進んでいないであろう。
   もう一つ注目すべき問題は、中国の覇権主義的行動がエスカレートしていることである。南シナ海のみならず日本の西南諸島地域を含む東シナ海での海洋調査や多数の軍用機による恣意行動等目に余るものがあるが、国交正常化の時に確約した「覇権主義反対」を何故叫ばないのだろうか、何度でも声高にアッピールすべきではなかろうか?福島原発の処理水放流に関しても、中国の処理水以下の基準をクリア―していても、汚水として日本の海産物輸入禁止にするなど、大国にあるまじき振る舞いも同様で、経済問題など国内での民間の不満をこんなやり方でそらそうとしているのではなかろうか?!
   更に大きな問題は、万一台湾問題などで中国が軍事行動に踏み込むと、ウクライナへのロシアの侵攻以上に深刻になることが予想されます。中国指導層の人権問題に対する感覚は、日本では予想し得ないものだと言うことです。以前日本の旅客機が赤軍派にハイジャックされた際、日本政府は、人命は地球より重たいとしてピョンヤン行きに同意して政府高官を身代わりにしたが、中国ではこんな対処方法は夢にもしないでう。1989年の天安門事件では、後日鄧小平氏は「2-300人の犠牲で国益が守られ、国の統一と平和を維持出来た」と誇らしく語っていたほどである。
更にそれより前であるが、中国が水爆実験に成功した折にアメリカ政府から非難されると、「我々は核戦争も恐れない。中国が核戦争に突入しても7億(当時の人口)の中、仮に3億人が死亡しても4億人は残ると平然と言い切ったことがある。
   海外との関係をその時代なりに把握しがちであるが、中国との関係等はもっと長い尺度で観察する必要があると思われる。ほとんど論じられていないが、800年前には西は東ヨーロッパやモスクワ近郊まで支配地域を拡大した元朝時代はモンゴル族支配した時代であるが、現在内モンゴル自治区と独立国となっているモンゴル双方のモンゴル人を合計しても1000万人にも満たない。
100余年前まで中国を支配し清朝と称していたのは満州族であるが、満州族の自治区(全体で五つあり)もない。本国復帰の際「一国二制度」をイギリスと約束したが、反故にされている状況は、周知の通りです。以上の如き情況は習近平政権だけの問題でなく、漢時代にまでさかのぼるが、次回その一端を紹介しましょう。
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