中国各地で仕事をし、生活をされたことのある日本人にとっては、中国はやはり
  広大で地域によって風習や気性もかなり異なるなと感じておられると思うでしょう。 地域差で特に印象に残る事例を若干紹介しましょう。
  1.昔からよく聞いたのは、中国人の喧嘩の仕方です。「広州等南方では気短の人が 多くまず殴り合いをして、それから何故殴ったか口争いをする。武漢や南京等華中地域では、口喧嘩がやがて殴り合いになる。然し北京等北方では、延々と口喧嘩をするが、決して手出しはしない」というものです。華中地域や北方での喧嘩の様子は随分と目撃しましたが、上海では北方同様口喧嘩主体だったとの印象です。勿論例外はあります。又、夫婦喧嘩も家から外に出て、近所に聞こえるようにわめくと言う。日本では「夫婦喧嘩は犬も喰わない」と言われ、他人は口出し無用と受け止められています。これは激しい口喧嘩も突然、“甘いいたわりあい”に変わるからでしょう。
  2.30年も前の話ですが、「上海は北京と東京の中間さ!」という、小話を聞いたことがあります。上海人も北京人もこう言うが、意味するところは真逆です。北京人は「上海の奴らときたら、話が早くチョコマカ動き回り油断できない。尤も東京人程ではないが!」と言い、上海人は「そうさ!我々は北京の連中の様に、頭の回転も動作もノロノロしていない。尤も東京人には及ばないが!」と言う。尚、この頃の中国人の所得レベルは日本の2-30分の1でした。日本人の生活レベルが高いのは、「原材料を安く輸入し、製品を高く輸出するからだ」とは、随分聞かされたが、今では比較的客観的に見ているのではなかろうか。
  3.中華料理と言っても、北京、上海、四川、広東の四大分類があることは誰でも知っていると思われるが、ある土地に行ってもホテル、高級レストラン等とその土地の人々が日常口にしている料理では随分違う。昔成都に出張した時、毎日口にしているホテルの料理は、それ程辛くもシビレも感じず、同行していたメーカーの技術者より、「折角四川省に来ているのだから、典型的な本場の四川料理を食べたい」との要求が出され、それを現地の客先工場の方々に伝えた。すると、帰りがけに田舎風サービスエリアに立ち寄り、案内担当者がその意向を店の主人に伝えたところ、初めての外国人客の来訪で、本場の味を賞味したいと知り、張り切って料理を作り出された。想像通りで口も食道も辛く、痺れてしまい、口直しのビールも冷たいのはなく、時期も7月下旬の猛暑の季節で散々な目にあったことがある。
   一方、現在人口比率では漢民族が7割を越えている寧夏回族自治区の北端の町で2年間仕事をしたが、この地域には「漢餐」との看板を掲げた中華料理店はあるが、既に味付けは半ばイスラム風に変化している。湖南省のみならず、湖北でも辛い味付けが一般的なので、要注意である。又東北地方の料理は概して塩分が多い。
   中国人の日本料理への、典型的な評価は「清淡」であり、味が薄くさっぱりしているが、健康に良い“長寿食”である、というもの。
柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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