トヨタがGMとの合弁会社を清算する。ニコンがベルギーの精密測定メーカーを買収する。このような日本企業の動きは、蘇秦と張儀が活躍した中国の戦国時代を連想させる。グローバルな合従と連衡が、これからますます盛んになる。日本企業は伝統的に、事業の遂行をすべて自前でやってきた。社内で技術を開発し、その技術を応用した製品を市場に投入してきた。大手企業の戦略を見るとこの傾向が良く理解できる。しかし、技術がこれほど高度化すると、社内開発だけでは間に合わない。これからは、有望な技術を開発するベンチャー企業との提携も必要になってくる。

つまり、行き過ぎた多角化の反省として、水平統合を視野に入れた合従と連衡が盛んになっていると言える。かつて、コングロマリットがもてはやされた時代があった。数多くの企業を取り込み、企業数を増やすことでリスクを分散しながら、全体の売り上げを安定的に伸ばすという考え方である。しかし、そこそこの業績の企業を集めても全体の業績は安定しないし、個々の事業特性を知ることなしに、財務諸表を根拠に業績を管理しても、利益率の低い低収益の企業体になってしまう。やはりよく知った事業を経営するのが一番良い、つまり、本業回帰の現象が合従と連衡の背景となっている。グローバル市場の変化と多様性に素早く対応するには、水平方向への合従と連衡が、間違いなく必要になっていく。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)