政府が300億円規模の公的資金をパイオニアに注入することが決定した。パイオニアはAV機器の大手である。自動車の電子化に伴い重要性が増しているカーナビゲーションシステムでは、国内市販市場で約30%のシェアを持っている。しかし、薄型テレビの販売不振で業績が低迷した。新聞報道で、パイオニアが薄型テレビを製造していることを、初めて知った消費者も多いと思われる。

このグローバル競争の時代に、パイオニアが薄型テレビで市場に存在感を示すに十分なシェアを確保できる可能性は非常に低い。十分なシェアが確保できなければ、販売は低迷する。自明の理である。もし、パイオニアの薄型テレビが故障したらと、顧客は考える。どのような商品を製造していても、すべてのメーカーは、究極的にはサービス企業である。フェラーリを運転している都内在住のお金持ちが、フェラーリに乗って日本全国周遊の旅にでかけるだろうか。やはり、国産車で走るのが無難である。国産車なら、日本全国どこに行っても故障は即日直る。しかし、フェラーリだと、話は全然違ってくる。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)