日本の携帯電話メーカーが、海外市場に再進出する。高性能な機種を、次から次へと投入する日本の携帯電話メーカー。それを後押しするソフトの開発。高性能で高額な商品を投入し、その商品から得られた利益で、さらに高性能で高額な商品を開発する。日本企業のハイテクは素晴らしいことに異論はない。それでも、日本の携帯電話メーカーの世界市場でのシェアは、全社合わせても10%以下でしかないのが実情である。

商品の開発には、イノベーションのジレンマが存在することを知る必要がある。つまり、高性能化の上昇線と同じ上昇角で、消費者は高性能な商品を受け入れない。消費者は、高性能化の上昇線よりも少し遅れたタイミングで、しかもより緩慢な角度の上昇線で高性能商品を受け入れる。だから高性能化のタイミングとその程度が難しい。かつて、その両方を理解せずに、日本で売れている高性能機を世界市場にそのまま投入した日本の携帯電話メーカーは、世界市場から撤退を余儀なくされた。ビジネスは、常に地動説で理解することが必要である。素晴らしい頭脳を有する開発者を中心に、世界は回っているという天動説は捨てるべきである。天動説を捨てると、マイクロソフトがなぜ高性能なビスタに代わるOSを、急いで投入しようとしているかが理解できる。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)