優良客獲得ツールとなった ISO9001+14001

~中堅運送業のISO取得による経営改革ストーリー~


 

  埼玉県、戸田市にある(有)M物流は、トラック26台を保有する、地域の中堅運送業。


昨年は、久しぶりに経常利益が、500万を上回った。例年8月はトラックが動かないことが多かったが、その年は8月もフル稼働だった。


この道一筋の47歳O社長は、温厚で勉強熱心だった。


国土交通省から最近発表された、「運輸安全マネジメント」にも逸早く関心を持っていた。


かねてから、自社のサービス力の向上と人材の育成に関心を注いでいたが、明確な方法が見つからなかった。


そして、悩みがいくつもあった!


顧客の構成は、定期顧客が約50%で、後の半分は1~2日前に依頼が入る「スポット業務」で仕事が埋まる毎日だった。


何とか、定期の優良顧客の件数を増やしたかった。


しかし、


この「スポット客」の業務で、先月も2件の“事故”が発生していた。


何と「100-0」(100%当社側が悪い)の物損事故だった。保険は掛けているものの、補償額は70~80万円になる。


ドライバーの意識の問題なのだが、年間10件近く発生していた。


O社長は、こうした状態をなんとか解決しうる仕組がないか悩んでいた。


ISOについては、関心はあったものの、どんな成果が出るのかよく分らなかった。


そんな時、一枚の「FAX」が飛び込んできた。地元の「診断士」からのISOの個別相談

の案内だった。早速、TELし一時間半説明を聞いた。


ISOは、小企業のほうが成果が出やすい?

はじめはやや耳を疑った。しかし、丁寧なその説明に次第に納得していった。


 そこで、O社長は、自社の課題を正直に言った。


 <課題>  1.事故の撲滅

         2.ドライバーの意識改革とサービス力の育成

         3.優良新規顧客の開拓


ISOコンサルタントは状況を聞いてから言った


「ISO(9001)は、経営全体を改善する“ツール”です。小企業は、この仕組を信じて

社長が先頭になって真剣に取り組めば、1~2年で成果に繋がります。」


さらにコンサルタントは「御社の課題は明確なので、この課題を解決するためのシステムの構築をやりましょう」と言った。


ISOの策定は、毎日業務が忙しいため、第2、第4の土曜日にプロジェクトを開催した。それから1年後、ダブル(9001+14001)でISOの認証を取った。


取り組む前までは、サービス業で、ISOがどれだけ有効なのか、やや疑問だったが、システム構築の過程で、充分有効だという、「確信」に変わっていった。


今まで何もしていなかった!

ISOを学ぶうちに、今までM社は、目標―実施―検証―改善の業務サイクルが殆んど「実施」を除いては、行われていない事が詳しく理解できた。


特に、人材育成の「方向」が明確ではなかった。

まず取り組んだのは 「1.の事故の撲滅」だった。


ドライバーは、毎日事務所に全員が集合するのは、業務の実態から無理だった。


しかし、常に事故防止の意識を持たせるには、管理者とのコミニユケーションは極めて重要だと思えた。


スポット業務の指示は、多くは携帯電話で行われていた。(これも指示ミスの原因の)


そこで、毎日O社長が「ボイスメール」で全員にメッセージを伝えた。毎朝ドライバーは携帯で社長の激励と安全運転の注意の声を聞いてから、出発していった。


また夕方6時には、携帯にメールで、ねぎらいの言葉とその日の「事故の有無」について報告があり、無事故の場合は「皆さん今日も無事故で終りました、有難う」と付け加えた。


このメッセージコールの継続で半年後「100%-0%」事故は年2件ペースに減った。


優良顧客開拓に取り組む!


ドライバーには、手製で自社のプロフィールを紹介する「ニユースレター」を毎月作成し、顧客の発注担当者に配らせた。


さらにドライバーに毎月、所定のフォームで「顧客レポート」を報告させた。


顧客の荷物の種類、その量の変化、新しい商品の情報、競合会社の動向などについて、報告するよう義付けた。


初めは抵抗があった。

走行日誌しかつけたことが無いドライバー達の報告は50%しか揃わなかった。


しかし、月に一度の検討会を重ねるごとに、報告の重要性が理解され、4ケ月後には、全員報告するようになった。


O社長は、この報告(情報)を丹念に収集し、分析した。そして結論を得た。

「やはり顧客は我々を評価していない!」

と“確信”を持った。 そして同時に、


O社長は難易度が高くても単価が高く成長性のある、安定した顧客の獲得が必要だと意を強くした。


現在、この種の仕事は、M物流よりもやや大手の企業が担っていた。

例えば、精密製品、ハイテク製品の運送がそれだ。そして、配送量も伸びている。


何とか、これ等の業務を担当したいと思った。


しかし、シビアーな納品時間や取り扱い、セッテイング要領などサービス力の向上が必要だった。


O社長は、このテーマを「人材育成の具体的課題」として設定した。

そして、この考えを、月1度のドライバーミーテイングで説明した。


今まで、会議といえば、重大な「事故」の報告と、再発防止、規律の徹底以外には開いた事がなかった。


O社長はいった。「我々がこのような仕事を手がけられるようになれば、利益も増え、君達の待遇も改善できる!是非協力して欲しい。」


ドライバーの多くは会議の当初 “そんな話は自分達の仕事じゃない”という態度で

全員腕組みし、沈黙していた。


ところが、その中で、先月転職してきたばかりの1人の若いドライバーK君が手をあげて発言した。


K君 「私は、前の会社で、今社長の言った製品の配送とセッテイングをしていました。その為に運ぶ商品の知識の習得とセッテイング要領の研修を1週間受けました。」


O社長 「それで、どんな風に」と促した。


Kさん「初めは、そんな事必要なのか?と思っていましたが、製品を理解すると、

ただ物を運ぶ感覚とは意識が違ってくるようになりました」


さらに「顧客の使用している姿、その製品のメリットなどが分ってくると、仕事への気

ちも変わってくる」と率直に感想を述べた。


その後、反対意見も多数出て、議論はやや混乱したが、O社長は言い切った。


「これから、半年計画でベテランのCさんとK君がこうした精密製品の運送、セッテイングについて研究し、作業マニュアルを作成し、実地訓練も行うことにします」と。


手順「マニュアル」は、2.5ケ月で完成し、訓練も実際の製品を使っておこなった.


新規開拓スタート!

毎月1回、主要顧客を回っている社長は、この作成した「マニュアル」を持参し、新しい仕事に対応できる事を、“見込み客”に説明していった。


しかし、すぐに仕事をくれるほど顧客の反応は甘くはなかったが、諦めなかった


それから2ケ月後、その冷たかった顧客の1社から[連絡]があった。


いわく「ハイテク製品の出荷が増え、配送が手薄になったので、おたくに試しにやってもらいたい」というものだった。


O社長は心の中で「やった!」と思った。

「この仕事をしっかりこなせば、その実績を元に優良顧客の開拓ができる」


そして、1年後4社の新規優良顧客を開拓。


毎月のドライバーミイーテイングは続けられ、安全の為の意識は高まり、新しい商品

の研修は、より細かくなっていった。


「なによりも、会議でドライバーから積極的なアイデイアがどんどん出てくるようになった事が嬉しい」とO社長。

ISOの徹底活用

運送屋はたくさんの荷物をはこべば良いのではない。

良いサービスを提供し、「質の高い運送」をしなくてはならない。


その為には、サービスの担い手であるドライバーの意識の改革と、そして「戦略」に

見合った教育、トレーニングが不可欠だ。


ISOに取り組む前まで、毎年定期的に、ドライバーを1日3万円の外部のドライバー講習に出していたが、今では不要になった。研修は社内でやるのが最も効果があると実感出来たからだった。


業務の研究、顧客の観察、そして戦略の見直しを業務サイクル<ISO>の中で取り組んでいった。


ドライバーからの毎月の報告、ミーテイング、朝夕の社長のメッセージとコミニケーションの量はISO以前に比べ何倍にも太くなった。


居ながらにして、社長は顧客、ドライバー、競合会社、業界の動向をリアルタイムで掴んでいる。


“有視界飛行”経営の実現。


いまO社長は、運送の仕事をもっと楽しく「考える仕事」にできる筈だと考えている。


・CS=顧客満足

  ・継続的改善        < ISO-9001システムの2大目標>


最近では、大手精密医療機器メーカーからも依頼があるという。この時の決め手は、

ISO-14001の取得が高く評価されたと言う。


M物流は、現在定期の優良顧客の比率が75%になり安定した経営を行っている。


この事例は、事実に基づいて構成されている。

運送業は、ISOが堅実に普及している。そして、成果が出る。

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