受注が落ち込み、ISOに興味

千葉県にあるC社は、創業が昭和44年、年商約2億円の下請部品加工メーカー。

S社長は、16名の従業員で、10社の取引先から厚い信頼を得る仕事を、誠実にやっていた。

S社長は、常に新しい方法、管理システムには関心を持ち、様々なセミナーや勉強会に参加していた。

その社長も、創業当時は、資金繰りに大変苦労した。創業2年目の夏、受注は順調だったが、資金が足りず、奥さんの実家から300万円を社員のボーナス資金として借りた事もあった。

それ以来、無借金経営を心掛け、現在ではそれを実現し、かつ品質の向上と、技術のレベルアップ、社員の教育に力を注いでいる。

こうした中、どんどんこの業界(遊具の部品加工)も受注が落ち込んでいった。

そして、夏のある日に、一片の通達のようなものが、最大手の取引先の社長名で回ってきた。

「当社は先日、国際規格のISO―9001をとりました。

品質マネジメントシステムと訳されるこの規格は、仕事の仕方を標準化し、継続的にそのレベルを改善してゆくもので、今後、製造業に於いては、不可欠な規格になると確信します。

就きましては、当社の社員監査員が年2回、御社を下請負企業として、監査し、評価の結果を連絡させて頂きます。そして、必要な改善事項については、3ヶ月以内に実施されるよう希望します。」 ……という内容だった。

勘のいいS社長は、これは「下請けの選別だ」と直感した。そしてさっそくISOについての情報を一週間で収集した。

しかし、本を2~3冊読んだが、よく判らなかった。そこで知人から聞いて、更に実際にISOを指導している人をさがし、その人に話しをきいてみた。

約4時間、詳しい話をきいた。根堀り葉掘り。

よし、やろう!

S社長は話を聞き終わって、すぐそう思った。

S社長は 「ISOはややむずかしい部分もあるが、我々のような中小企業に向いているものだ」 と思った。

それは…

他の中小企業同様、我々クラスの会社は、優れた技術力、品質の高い製品づくりはできる。だから、ここまで生き残っている訳だ。

しかし、その技術を高める、或いはコントロールする管理技術が殆どなにもない。

人が辞めれば、又、一から教育しないといけない。仕事の仕方があるようでない。又、必要な図面や標準書がいつも使える状態になってない。

こうした事は、管理の技術、システムが無いからだ。この辺を直さなくては、強い会社にはなれない。つまり、生き残ってゆけない。

こう考えたS社長は、すぐさまISOをスタートした。お金がかかる。全部で

600万円くらいになる。今年の利益はゼロになる。しかし、ひるまなかった。

10ヶ月で本審査をパスした。残業で品質マニュアルをつくる日が月に4~ 5日発生した。社員から苦情がきた。

しかし、S社長は 「うちの会社が生き残る方法は、今のところ、これしかない!   頑張ろう!」と激励した。

そして、親会社は、C社がISOをとったという連絡を受けて、半年に一度の監査を省略すると連絡してきた。

親会社からの発注減は10%で収まっていた。他の下請け同業者は30%~40%ダウンしているときいていた。

30%~40%受注が減ると、会社の資金繰りがおかしくなってくる。信用保証協会の融資を申し込む企業が増えていると銀行からきいた。

同時に以前からやっていた、5S活動も前進した。

※ 5Sとは 整理、整頓、清潔、清掃、躾の

頭文字=Sをとって名づけられたもの

    品質管理の最もベースとなるノウハウ

それから半年後、同業者の下請企業1社が不渡りを出し倒産。更にもう1社は廃業した。

いずれも、C社と歴史、技術力等、同レベルの企業だった。

社長はこの話をその日の朝礼で全社員に話した。そして、我社が生き残っているのは、ISOのおかげだ。そして、深々と頭を下げた。

「皆頑張ってくれて、有難う!」

その後S社長は、社内の教育をコンサルタントに頼み、月2回指導してもらっている。

そうした改善を続ける中、S社長はこの言葉が、大変気に入っている

「凡事徹底」

当たり前の事をちゃんとやる……シンプルなコンセプトだが実はこれが出来そうで、

出来ない。

又、全員が出来れば、見違えるように成果(品質や納期、コスト)が出る。

当たり前の事が出来て、難しい事も生きるのだ。

難しい事だけしていればよい…という考えは全く間違いなのだ。

例えば 

部品の加工をするとき

・ 設備の点検を、点検要領に従って必ず行うこと

・ 必要な抽油や、刃具の交換は、予め決めた間隔で必ず行うこと

・ 月1回は、設備をバラして徹底的にピカピカに磨く

等々、やれば誰でも出来る事を実行する。

この点をベテランの技能者に徹底するのが最も大変だった。要領のわかっているベテランは、基本を省略することがある。結構ミスが発生する。しかし、誰も注意しない。

これを直すのに、うってつけのキーワードだった。

クレームは大幅に減る

何故なら、内部監査員制度というISOの仕組で、半年に1回ペースで職場の監査を社員がやり、問題があると「是正勧告」が職場のリーダー宛に出される。

1ヵ月以内に対策をしなければならない。強制的に。

受注先が拡大

今迄主要10社と取引していたC社は、このISOをきっかけに、他の大手企業からも仕事の依頼、打診が増えていった。

そのとき、新規の取引先に行って、社長はISOを活用してどのような仕事の管理をしているかを、自社の品質マニュアルで詳しく説明する。

すると、先方は 「じゃ、お宅に頼みます」 と言う事が多くなった。

業界の不況は依然続いているが、C社はコストダウン目標も毎年達成している為、収益は改善している。

今、C社に同業社の見学者が、月に2~3社来るようになっている。いずれも、下請企業の社長だ。皆、何かを吸収しようという思いだ。

S社長は、一通り工場を案内した後、言う。

設備や機械は、今、廃棄する会社が多いので、中古の良質のものが安く買える。しかし、… そんなものより大事なものがある。

それは、「自社独自の管理システム」です。これは買うことは出来ない。社長自らがつくるしかない。

そのとき、スタンダード(標準)モデルとなるのが 

                           ISO原人

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