ISOコンサルタントだから出食わした、取っておきの実話を中心に
うそ(USO)のような、本当の話をお伝えします。

・プロローグ
ISOにおけるUSO【うそ】とは?
1話 ISOコンサルタントが指導途中に逃げ出した!
2話 現場審査で、審査員と口論になり、立往生!
3話 「維持審査が待ち遠しい?」取得企業があった!
4話 管理責任者が倒れて、2000 年版への移行が困難に
5話 審査機関の審査が「最も甘い?」USOでしょう?

プロローグ ISOにおけるUSO(うそ)とは?

ISOでUSO【うそ】となるのは、なにか?

話題性のある話で言うと、2年前のM自動車、Y乳業、最近のF家製菓の事

例。

事実を隠し、自社のシステム(決まり)にも違反している場合。これ等の大手企

業は、組織が大きい為、“企業ぐるみ”の汚名を着る事になる。

「虚偽の記録、報告となる」

つまり、ルール【マニュアルや基準】どうりやらない。届け出ている方法を守ら

ないことを指す。

一言でいうと、実態と記録が異なる事になる。

そして、その事実が、人命に重大な危険を及ぼす場合は、認証そのものが停

止される場合もある。これらは法令違反になる事も。

ISO取得企業で多いのは実際の行動・アクションが無いのに、記録だけがあり、

USOになる。

ISOは、第三者審査制度により、維持されている。しかし、あくまでも自主性が

尊重される。

記録そのものが「架空」であれば、審査機関のサンプル審査では、判定のしよ

うが無いこともある。

USOのISOは、ISOをやる意味がない。

これから紹介する話は、ISOで「うそ」をついた話
ではない。USOのようなISOの本当の話です。


1 話 ISOコンサルタントが、指導途中で逃げ出した?

これは、実際にあった話で、我々に相談があったので、わかったのです。

この会社、社長の高校時代の友人が、自分の勤めていた会社でISO取得に

携っていて、その友人が定年になったので、自社のISO取得コンサルを頼ん

だ。

料金は、格安の「親戚価格」で受けてくれた。

しかし、自分の会社とは業種も規模も違うため、なかなか、進まなかった。

同じ製造業であっても、この会社は、化学製品で、尚且つ製造工程に複雑な

処理がいくつもあった。

ISO規格の「プロセスの妥当性確認」の判断などが経験不足と、専門知識の

不足から、明確な基準が、判定できなかったことなど壁に突き当たる。

「コンサルタント」は、悩みに悩んだ末、ノイローゼ状態になり来社しなくなった。

そして「音信不通」になった。

プロジェクトのメンバーは、はじめは同情的だったが、だんだん不信感を持つ

ようになってきたが、友人でもある社長には言い出せなかった。

ある日、社長からリーダーが呼ばれ、状況が報告されようやく「中断」が発覚。

プロジェクトは「頓挫」していた。

社長は、急遽知人を介して我々に助けを求めてきた。

実は、こんな話、各地でしばしば発生しているのです。

どうして、友人なら「信用」してしまうのか?人物は信頼できても、コンサルタン

トとしての力量は、未知数のはずだ。

運用できないISOを作ったら、「大変な重荷」なる筈なのに。


認識が甘いとしか言い様がない。
そして、こういうケースの場合、殆ど「コンサルタント」が大企業出身者だ。

このため、作っているシステムが、小企業にとっては、「違和感」のある場合が
殆ど。

したがって、修復作業は「初めからやり直し」の状態になるのが大半。
正に、“むだな時間”となってしまった。
それから、約6ケ月修復作業は我々グループのNO.1コンサルタントが担当
し、無事7ケ月後認証を果たした。この場合相当な「力量」が要求されるのだ。

ISOのシステムは、一つの思想と構想で作られる。指導者が変わると同じISO
でも、プロセスや手順、メリハリのつけかたが全く異なる。

住宅のリフォームよりも数段「めんどうくさい事」が多い。何故なら

人の頭の中に一旦植えつけたISOの「考え」をゼロクリアーにするのは、簡単
ではないからだ。

そして、コンサルタントも何段階もある。「アマ」「セミプロ」「プロ」「ベテランプロ」
「トップクラス」といる。この見極めが重要だ。

この話は、一般の人には、ありえない(USO)のようだが、この業界では、珍し
くない話だ。

コンサルタントの選定=ISO成功のキーワード

2 話 現場審査で、審査員と口論し、立往生!
あまり、聞かない話のようで、実は起こりうる。実際私が、「立会い」した時に、
それは起こった。

特に、審査員が「新米」の時は、要注意。


「新米」は、審査に慣れていない事から自分の「存在感」を示すかのように自身の
見解を主張する事がある。

審査を受ける側は、内心「なるべく穏便にパスしたい。」と思っている。
この為審査員から「指摘」を受けると、殆ど「ご無理ご尤(もっとも)」の姿勢。従っ
て、よっぽどでないと、「反論や口論」にはならない。

しかし、実際にその事は起こった。
審査員が、校正機器の管理の不備について「不適合」だと指摘。受審側の責任

者は、コンサルタントの指導どうり答えたが、審査員は譲らない。そして、話は平
行線に。
この時、立ち会うコンサルタントは、この業界の決まりで、一切、口出しできない。
審査員は「不適合」にすると言い放った。一方、責任者もこの点については、しっ

かり検討していたので、譲れなかったし、やっている事に自信があった。

ISO審査の指摘は、審査後の最終会議の終わりに、指摘事項について、受審企
業の責任者が「サイン」(承認)しなければ有効にならない。
責任者は、「サイン」を拒否。そして、こう言った「その指摘は、規格の何条に抵

触するのですか?そして、その根拠は?」と。

審査員は、やや口ごもり、説明はしたが、説得には至らなかった。そして、その指
摘は保留になった。
こんな事、めったに起こらないが、全く無い訳ではない。
審査の根拠はあくまでも「規格条文」だ。しかし、現場の現実をどう解釈するかは

審査員の経験、知識、見識による。
結局この一件は、受審側企業が「質問書」を審査本部に送り、公式見解を得て
その審査員の指摘は撤回され、落着した。


ここでもし、指摘を受け入れていたら、この企業は工場現場で毎日納得のいかな
い作業を、これからずっと続けなければならない。

USOを続けなくてはならない!

3 話 「維持審査が待ち遠しい」という取得企業、ホント?
維持審査といえば、どんな取得企業も一週間前には、しっかり準備を整え、「万全
の体制」をつくる。
書類のチエックや「現場責任者と入念な打合せ」を行い、漏れや抜けの無いように
する。
職場はピリピリした緊張感で決して「待ち遠しい」状態ではないのが一般的だ。
しかし、私が現実に出くわしたあるサービス業は違っていた。120人、4店舗を経
営するこのサービス業はISOに真剣に取り組んでいた。
この会社、3年前にISOを取得していた。毎年の維持審査は必ず。2~3の指摘を
受けたが、その都度しっかり是正していた。管理責任者は、まじめに是正・予防措
置を徹底していた。
初めの2年は、必死だった。
現場の店長、リーダーたちと、就業後ミーテイングを繰り返していた。
「接客サービス業は、実は、クレーム産業」といっても過言ではないくらい細かな問
題が現場で毎日発生する。
特に、雇用形態が「パート、バイト、派遣」更に、準社員と様々で、なおかつ勤務時


間が2シフト制の為、上司の伝達事項がなかなか伝わらない。

2年間、指摘事項の撲滅に注力し、3年目からようやく職場ごとの「目標管理」に本

格的に取り組み、同時に個人の月間目標も設定した。
この企業の成功の要因は、「人事評価」とISOの改善がリンクしているところだ。

ISO取得3年経過後、維持審査の課題は、もっぱら「改善目標の達成」方法に中

心が移ってきた。
審査員が来ると、管理責任者は、積極的に改善方法のデイスカッションをすると言

う。「OOが出来ていない」とか「OOが行われていない」という後ろ向きの「指摘」は
今はほとんど無いという。

各職場・チームの半期目標の達成、未達成要因の分析や、達成の為の、アイデイ
ア方法の議論がほとんどだと言う。

審査員は、この業界のルールで、「コンサル的アドバイス」は禁じられている。
しかし、同じような業種を何十社も見ている専門家の「ヒント」は大変貴重だ。
この会社の管理責任者は、ある時この事に気づいたのだと言う。

「だって、そうでしょう、我々が知りようがないノウハウを他社でたくさん見ているの
ですから。しかし、審査員の義務や立場を理解してやらないと、いけませんが」と
その極意をのぞかせた。

会社がISOの維持審査ごとにレベルアップしてゆく。

「審査が待ち遠しい」とは、理想の形であり、“USO”のような
話だ。


4 話 管理責任者が倒れ、2000年版移行が困難に!
栃木県の40人の部品加工業の専務(社長の長男)から相談をうけた。

この会社4年前に9001を94年版で取得。2000年になって、9001規格が大幅
に改訂され、新規格への移行作業が必要になってきていた。

ところが、この会社、管理責任者の羽田さんが“大変優秀”な人だったようだ。65歳
とやや高齢だが、工場の経験も豊富で、品質管理にも精通していた。

そして何と、ISO取得も、自力で勉強して、コンサルタントも雇わずに認証した。(小
企業では極めてめずらしい)

そして、その維持管理についても、殆どその羽田さんが1人で取り仕切っていた。

従業員は、羽田さんの言うとうりにやっていれば、問題ないと思っていたし、事実
「ISOの維持管理」は、問題なく進んでいた。

しかし、羽田さんは、血圧が高かった。若いときからの“持病”だ。そして、
ある日オフイスで倒れた。軽い脳梗塞だった。

命に別状はなかったが、口が思うように利けなくなった。本人は、仕事を続けると言
い張ったが、奥さんの猛反対で退社を余儀なくされた。

そこで困ったのがISOの移行作業だ。移行の猶予期間は、半年後に迫っていた。

社長と専務は、頭を抱えた。「どうしよう?」二人で深夜まで議論した結果、
我々に相談が舞い込んだのだった。。

私は、相談に乗ったものの、「これは、大変な作業になる」と予測した。そして、
それは、的中した。

取り敢えず、現場リーダー5人にヒヤリングを行った。各人ISOについては、自分の
持ち場については理解していたが、システム全体のことについては、断片的にしか
分っていなかった。


特に内部監査は、もっぱら羽田さんが1人で実施していたのが実態で、ちゃんと出
来る人はいなかった。

半月後コンサル開始。

2000年版への移行作業は、5ケ月を要した。都合8回の訪問指導と内部監査員
研修を実施。

そして、我々は2度とこのような状態にならないように慎重にプロジェクトを進めた。
そのポイントは、

1.専務に管理責任者の仕事をマスターさせる。
2.職場のリーダーにもISOの全体像を理解させる。
3.内部監査員を10人養成する。
4.全社員へのISOの再教育を我々コンサルタントが1回、各リーダーが職場で
2回づつ実施する。
2000年版移行は計画どうり完了し、移行後の維持審査もパスした。
このような取得企業は、潜在的には結構多いのではないだろうか?
1人の人にISOの殆んど全てを頼ることは、「危険」だ。必ず複数の人が分っている
状態でないと、不測の事態に対処できない。

本来、ISOは「1人でやるもの」ではない。何故なら、成果が半分以下になるからだ
「面倒くさい事は、全てお任せ?」はISOでは禁物だ。

USOのような実際の話ご参考に。


5話 「審査機関の審査が一番“甘い”?」USOでしょう?
ある、樹脂製品を作っている34人の加工メーカー(G社)の専務の言葉。私は初め
耳を疑った。そんなことあるのか?と。
この会社最大手の取引先から、年4回「工場監査」を受けていた。この取引先も勿
論、早くからISOを取得していた。
G社は2年前にISOを認証し、「工場監査」は年2回に減った。
審査機関の維持審査は、年2回のサイクル。ではどうして「甘い」と思うのだろう
か?
専務の説明はこうだ。
ISOの審査には、3 通りある。

1.第三者審査 審査機関による審査(認証、維持、更新 )
2.第二者監査 取引先などが行う「工場監査」など
3.第一者監査 G社が自社で実施する内部監査

(*監査も審査も同義と考えてよい)

この中で、ISOの専門家が来るのは「第三者審査」で、客観性が重視される。ISO
規格に忠実に行われる。
第二者監査は、それぞれ、共通の技術の認識がある為、具体的に細かく突っ込ん

だ監査になる。G社では実際そうなっていると言う。

第一者監査(内部監査)は、職場の改善目標まで念頭において行われる。
G社は、取引先の工場監査の前にいつも実施していると言う。
専務が「甘い」という根拠を説明してくれた。
「審査機関の維持審査は、あくまでも規格と品質マニュアル中心に行われる。2年


も維持審査を経験すれば、ほぼ“後ろ向きの問題”はなくなってくる。」
「しかし、取引先の工場監査は、もっとシビアーだ。なにしろ、自社の最終製品に

組み込む部品を我社に依頼しているわけだから、細かさ、改善への要求、精度
の厳しさが違う。」
「そして、何かごまかしたり、隠したりしたら、すぐにバレる。なにしろ、先方の最終

検査は厳しいので、いつも状況をありのままに公表している。」
「でないと、万が一にもうその報告が分ったら、即“取引停止”になる。

うちあたりの会社では、倒産してしまいますよ」
そして、内部監査については、
「うちの場合、内部監査は必ず、“工場監査”の1 ケ月前に行う。だから、工場監査
より厳しくやる。担当者はもっとも緊張しますよ。私はいつも、“問題点を取引先から
指摘される前に発見しろ”と言っています」

「いい加減にやれば、工場監査で見つかるので手抜きは出来ません」
というわけで1.内部監査 2.工場監査 3.審査機関の審査という順に
厳しさの度合いがランクづけされるそうだ。

「審査機関の審査は当社においては一番甘い」と言う発言は

USOのようで本当の話だった。

如何でしたでしょうか?「ありえないような、本当の話」現場

で毎日出くわす「事実」と真実は、ワクワクするほど面白い!


もし、あなたと面談する機会があれば、あなたの関心事にぴ
ったりの「USO」のような取っておきの話が出来るかもしれま

せん。(もし、都合よく合う話がなかったら、ごめんなさい。)
でも、参考になる話はきっと、できます。