私は、ISOコンサルをはじめて1年目の夏、東北の45人のメーカーから依頼をうけて、コンサルをスタートした。

指導が始まって、5ケ月目、現場展開をスタートして、1ケ月が経つった頃、突然村川社長から、申し出でがあった。

社長 「先生、コンサルを中止してくれませんか?」 私は、面食らった。 それまで、
順調にすすんでいたので、訳がわからなかった。

毎回のプロジェクトは、熱心な意見が続出し、いつも一時間予定をオーバーしていた。私は、新幹線の時間を気にしながら、意見のまとめをしていた。

私 「どうかしたんですか?」と、連れて行かれた居酒屋で切り出した。
社長 「順調にいっていると思ったのですが、実は、現場でISOを実行していないのがわかったのです」

私 「えー?全然、ですか?」
社長 「実は、殆どの従業員が、ISOのルールには従っているのですが、その記録が
ないんです。」

私 「それは、困ります。ISOは記録(証拠)がないと、審査通りませんから」
社長 「各職場のリーダーを信頼していたので、私もショックです。」

社長が説明している間、私は、ビールにも料理にも手をつける気にならなかった。

「中止する、しない」、の議論で20分が過ぎた。 さらに、沈黙が10分続いた。

じっと考えた挙句、私 「なぜ、現場の人はルール通りやらないのでしょうか?」
社長 「仕事がやりにくいとか、残業が増えるとか?」 とリーダーから聞いています。

私 「問題は評価ですね?」


社長 「はー?まあそういう言い方もできますが?・・」

私 「じゃ、こうしましょう。ISOを実施することで、発生した残業は業務と見做す
という事では?」、

社長 「でも、結構な金額になるかもしれないし?」

私はやや興奮して 「社長!改善を進めるのがISOです。今、一時的に残業代がでても、1年後にはそれを上回る改善が、期待できますよ。」

社長 「・・でも??」 と口ごもる。しばらくして、
私 「その残業代の半分を、もし1年後に成果が出なければ、私がコンサル料から
戻しますよ。」

社長 「そんな事は絶対にできませんよ。だめです。うちの問題ですから」
結局、その日は結論の出ないまま、そのまま別れた。

「出費と成果」
ISOに取り組む小企業は、シビアーな状況で取得を決意する。
投資(出費)を上回る成果・・これがなければ、長期的にISOに取り組む意義
は薄い。
私は、1週間この問題を、仕事をしながら毎日考え続けた。
そして、社長にある解決案を提案した。 それは・・
社長と全社員が一同に集まって

1.全員で、もう一度「なぜISOに取り組むのか?」について、徹底討論する。
2.そして、我社がISOによって、どうしたら、改善ができるのか?を列挙し、

誰が中心になって進めるかを、明確にする。

3.これが、不可能なら、ISOを中止する。
これが可能なら、ISOに依る残業代は、半年に限りみとめる。
4.また、職場ですぐれた改善があった場合は、特別手当を支給する。
社長は諒承し、全社員会議は開催された。
ところが、会議で分かった事は、思わぬ事だった。

それは、会社がISOに取り組むのは、改善というのは表面の理由で、「実は、業務の合理化をはかり、リストラをする為だ」という噂を誰かが吹き込んでいた事がわかっ
た。

この地域では、この時期中小企業もリストラばやりで、そう考えるのも不思議はないが、とんでもない“誤解”だった。

結局、誤解は解け、ISOの為の残業代も「口実」だとわかった。

翌月、コンサル再開。4ケ月後無事 ISOを認証した。

今この会社は順調に拡大。来年は工場の増設も計画中だという。

この一件で私は、大きな教訓を学んだ。それは、
ISOを「理解」してもらう事より、

「我社は何のために、ISOに取り組むのか?」をしっかり
理解してもらうことこそ、ISO取得の大前提という事を。

いまでは、この事をどこの会社の「キックオフ大会」で、必ずしっかり説明する。・

・・・・・・今でも、東北方面に行く時、この会社のことをよく思い出す。
さあ、「わたしのコンサル失敗談」如何でしたか?小企業のISO取得には、しばしば
“アクシデント”が起こります。しかし、状況を冷静に受け止め考えうる最善の解決策
を求め、全力で「チャレンジ」するのが、我々コンサルタントの使命だと覚悟しています。

また、「アクシデント」があった企業こそ、たくさんの“教訓”=今後の貴重なノウハウ
を与えてくれます。

しかし、こうした事にならないよう、我々は、万全の「サポート体制」を用意しました。

それは、

1、小企業のための「お助け<SOS>サービス」であり、
2、ISO取得のための「7大特典サービス」 です。