「消費回復、来春にかけて加速が早まりそう」

内閣府が今週発表した1~3月期のGDPは前年比年率換算で3.5%の高成長。

個人消費と輸出が牽引した結果で、今後は公共事業と円安効果が加わる。(日経)

民間調査機関の予測では実質GDPに含まれる設備投資は増えるが、

円安効果が大きい製造業は設備投資に慎重であり、

むしろ小売り業の出店、改装意欲が強いと各紙は伝えている。


上場企業の中で、小売業の今期売上は7.3%の増収(前期は-1.0%)、

経常利益は9.7%の増益(前期は-15.3%)と

消費回復を期待して積極的な投資で業績回復を狙っている。


内閣府がまとめた4月の街角景気調査では

現状判断指数は56.5%と0.8%低下したが、

3カ月後の先行き景気判断指数は57.8と前月比0.3ポイント上昇した。

改善は2ヶ月ぶりで、企業の業績回復による夏のボーナスが増えることに

期待感が広がっている。


反面、懸念材料もあり、小売りのレジ袋やゴミ袋を製造販売するシモジマは、

円安の影響で一部の商品を8~10%の値上げをする。

その他、食用油の値上りによって、マーガリンの値上げが予定されている。


その中で、先週に引き継いで小売り各社の出店計画が盛んになって来た。

・北関東が地盤のカワチ薬品は中型店の出店計画を

 今期3割増の18店に増やし、加工食品や日配を揃えてスーパーに対抗する。


・西日本中心のホームセンター大手のナフコは

 今期に過去最高の30店を新規出店する計画の中で、

 3000~5000平方m程度の中型店を増やすと発表。


・三越伊勢丹HDはアウトレットへの出店を

 現在2店から16年には10店舗へ拡大する。

 百貨店の新規候補は見込めない中で、業態を変えて拡大を図る。


・モスフードサービスはFC中心の出店戦略を見直し、

 前期比2倍の85店を計画し、その半分を直営店として出店し、

 FCでは出しにくい場所に機動的に出店する。


小売業各社は出店候補地を求めて中型・小型店タイプへ変化し、

期待される消費回復を先取りする。

そして、個人消費の変化を予測して


・イオンは大型SCの改装の中で、物販タイプから料理や音楽教室など

 モノの購入より施設内で過ごすことに楽しみを見出す「コト消費」の需要を重視する。

家計調査によると、2012年の消費支出全体に占める、衣料品や身周り品の割合は

10年比0.7ポイント低下したが、教養娯楽サービスは0.5ポイントアップしていることから

消費者のウォンツはモノからコトへと変化していることに対応する。


・コンビニ大手のローソンは国内の地場食材のネット販売を拡大する。

 地方の希少品を扱う食文化と新会社を設立し、

 通販サイトを通じて消費者のこだわりニーズを取り込む計画。

 ローソン通販サイトは「スマートキッチンプレミアム」で販売する。


・中元商戦が百貨店でスタートした。

 個人消費が上向く中で、地場産品を強化した自宅用需要を取り込む売場や

 やや高めの品揃えを充実して消費の高まりに答える。

 スーパーやコンビニも今年は品揃えを増やして中元需要を取り込む。


国内経済に明るさが見え始め、消費者は今まで我慢して来た消費について

娯楽・教養・ギフトから拡大し始めて来たが、

平常の食生活とは分けて消費を捉えており、

節約とハレの需要を分けて対応して行く必要がありそうだ。


今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司


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