政府発表の事業所版の国勢調査では、

2012年2月時点の国内企業数は2009年7月時点に比べ8.6%減った。

東日本震災の影響もあるが、

産業別では卸・小売業が12.3%と大幅に減少し、

高齢化などを背景に医療・福祉だけが2.4%増になった。


国内生産を示す、鉱工業生産指数は昨年12月に2.5%上がり、

4ヶ月ぶりに高い水準に上昇した。

経産省によると先行きも改善が続くと見られ、

予測指数は1月2.6%増、2月は2.3%増を見込む。

メーカーが活力を増し、個人所得に反映され、消費に回って来るのはいつ頃か。


日本経済新聞社が2012年の食品・日用品の主要80品目の

税抜き店頭価格を調査したところ、

全体では0.1%下落とデフレが続く中で、25品目が11年より上昇した事が分かった。

主な商品として、

・コーラ飲料は3.4%アップし、キリンのメッツコーラ、

 サントリーのペプシスペシャルなどトクホ商品が好調だった。

・即席袋麺は3%アップし、マルちゃん正麺、や日清ラ王などが

 生麺のような食感で好評だった。

同質化商品は価格競争で値下がりし、異質化商品は高くても売れている。


スナック菓子大手のカルビーと小池屋の業績が好不調を表している。

・カルビーは定番商品のうすしおポテトチップなどを値下げし

 スーパーPB商品との価格競争をしながら、

 ベジップスなど野菜スナックなど高単価商品を強化し、販売を伸ばした。

小池屋のフレンテはスナックの価格競争に押されて、6月最終損益はゼロになる見通し。

異質化商品の価格競争力は強く、企業の業績に大きく反映する。


ドラッグストア大手がディスカウント(DS)を重視し始めた。

・ツルハHDはビッグタウン名で販管費12%で営業利益12%の

 テスト店に目途を付けて、来期からの出店拡大につなげるという。

・その他、スギHDは傘下のDSジャパンを経営統合し出店拡大を図り、

 サンドラッグも傘下のダイレックスを北関東に3店舗出店し実験する。

DSはスーパー業界をはじめとして、

ドラッグが参入しこれから価格競争は益々激しさを増して行く。

最後の生き残りは規模の論理になって来るのではないか?


価格競争は小売り業界だけでなく、

外食業界においても居酒屋・牛丼チェーンにも息切れが目立つ中で、

お値打ち感で繁盛している店が話題になっている。

・「俺のフレンチ・イタリアン」は本格料理を破格の料金で提供する。

 原価率は80%を超えるメニューもあり、立食で1日3~4回転と回転数を上げ、

 粗利益額を稼ぐスタイルで伸びている。


価格以上のお値打ち感で商品回転数を上げ成功して来たモデルは、

小売り業界にも家具業界にも存在するが、

多店舗展開になって行く過程で、それを維持出来るサプライチェーンが鍵になりそうだ。 


1月31日、百貨店3店が閉店した。

・そごう・西武沼津店、呉店、大丸松坂屋新長田店が営業を終えた。

 日本百貨店協会によると、昨年までの3年間で閉鎖した百貨店は26店になり、

 その7割が地方店だった。

近隣スーパーSCとの同質化で競争力がなくなって来たのが要因のようだ。



厚労省の統計によると、日本の世帯人員の平均は

1991年の3.04人から20年で2.58人と減少し、

65歳以上の高齢者がいる世帯では単身者か夫婦世帯が半分強を占め、

30年には7割に達する見通し。


スーパー各社は中食の惣菜売場の拡大強化に製造工場を増強する。

・ヨークベニマルは3月から郡山市に新工場を稼働させ、

 和洋惣菜など130品目を生産し、「だんらんデリ」として

 従来の売場より拡大した惣菜売場で高齢者や単身者の個食に対応する。


・いなげやは16年春に総菜新工場を新設する。

 又、ヤオコーは14年に総菜工場を立ち上げ、既存の工場から移転する。


スーパーは将来の伸びる市場を取り込む為に、

惣菜売場の品揃えを充実・拡大する中で生産性を上げなければならない。

店舗の競争力と利益確保の両立を目指して投資が続く。

スーパーの商品はすぐに真似られてしまうが、

自店の異質化を販売にオペレーションにと広げていくことが求められている。



今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司


その他、興味のある方は: http://www.asahi-kikaku.net