日立製作所が、本社デザイン部門で美術系以外の人員を今後5年間で2倍に増やす。心理学や工学の専門人材を重点的に配置して、顧客の利用環境を詳しく分析しデザインや設計に反映できる体制を構築する。商品開発にこのようなアプローチは、ますます重要になってくる。つまりマーケティング開発部の必要性が、特に、大企業に必要になってくる。大企業は、本質的に複雑な仕事を間違いなく遂行することで成り立っている。そのため、仕事を間違いなく遂行できる優秀な人材が必要になってくる。しかし、人材が優秀であればあるほど、消費者との遊離は避けられない。内向きの思考で開発した製品は、消費者の求めるものから、かけ離れたものになる可能性が高い。つまり、ビジネスは効率的であるが、革新的でない状況になる。

市場をみても分かるように、大企業が開発した革新的な商品というのは、案外少ないものである。任天堂のゲーム機に代表されるように、革新的な商品は、アイデア満載の中堅企業から生み出される場合が多い。大企業のように複数の階層から成り立って、すべての階層が一つ上の階層の監督下で仕事をするという構造では革新的なアイデアは生まれにくい。マーケティングの発想で、新商品を開発するというコンセプトは、実現が簡単なようで難しい。マーケティング部と開発部が別組織だと、会議を開くが議会は踊るという事態が続く、スピードが勝負を分けるグローバルビジネスの時代には、議会が踊っている間に、競争相手の企業が新商品を市場に投入したという事態になりかねない。マーケティング開発部が、ますます必要になってくる。(Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)