ビジネス界では、もう吸収合併のニュースはめずらしくなくなった。ビジネスのグローバル化に対処するため、どのような業界であろうとも、生き残りに必要な規模の経済性を確保することが急務になっている。そして、グローバル市場に出て行くことが必要不可欠になってきた。グローバル化の必要性をいちはやく認識した韓国の指導者と、権力争いを続ける日本の指導者の違いは大きい。今の日本の政界は、まるで徳川の御三家が次の将軍を誰にするか、権力争いをしているようなものである。これでは、韓国との差は開くばかりである。

韓国の大躍進は、経済やビジネスだけでなく、スポーツ界や芸能界でも衝撃的である。しかし、日本では、事業仕分けというケチケチ作戦が進行中。日本の競争力維持に必要不可欠な科学振興費まで削減するというから恐れ入る。とにかく、すべてが内向きの視点からの発想。これからは、日本はニッチ市場であるという考え方をしないと、グローバル競争に負けてしまう。アサヒビールがオーストラリアの清涼飲料水を買収すると発表した。これでアサヒの海外売上比率は5%になったが、キリンの30%に比べると大きく出遅れている。スーパードライという素晴らしい商品があるのに、企業の一番の関心事は、グローバル市場よりもキリンとの国内市場のシェア争い。連日の猛暑でマスコミの報道も過熱気味。しかし、暑い夏もいつかは終わる。

また、国内の経営統合も、これからますます盛んになる。住友信託銀行と中央三井トラストが経営統合をして、大胆な費用削減に乗り出す。システムを統合し、管理系など機能が重複している部門の人員を営業に配置転換する。イオンが傘下の主力スーパーを合併して、店名もイオンに統一する。イオンは、伝統的にグループ入りをした企業の自主性を尊重してきたが、消費の低迷で経営環境は悪化。間接部門の合理化などで販売管理費を削減する必要にせまられており、構造改革に踏み込む。もう、傘下の各スーパーの自主性を重んじる余裕はない。

これからは、海外に出て行ってビジネスをするというリスクをとる努力と、重複した機能を整理し小さな本社を実現する努力が不可欠である。リスクはとらず、価格競争に耐えるため、競争力維持に必要なコストも削減して、既存のビジネスだけで生き残ろうという考えは通用しない。規模の経済性と小さな本社を同時に追い求めることが必要になっている。地球では、地球温暖化よりもさらに次元の高い地球規模の気候変動が進行中である。ビジネスも、地球規模の大きな変動が進行中であるという認識を持つことが必要である。
(Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)