大きいビジネスになると考えて、新ビジネスの戦線を急速に広げていく戦略は、短期的には売上げが増加しても、長期的には売上げが低迷して苦境に陥る場合が多い。将来性の大きいビジネスには、多くの企業が群がり、最終的には、規模の経済性を争う戦いになる可能性が高い。規模の経済性が雌雄を決することになれば、間違いなく資本力のある企業が勝利する。

太平洋戦争で、戦線を広げすぎた日本軍の戦略を考えると、よく理解できる。戦力を分散して、太平洋の多くの島々に防御線を構築した日本軍の戦略は、アメリカ側から見ると、まったく有り難い戦略となる。なぜなら、どこを攻めるかの選択権は、完全にアメリカ軍が握ることになり、アメリカ軍は勝てる戦いだけをすればよいことになる。圧倒的な戦力で、攻撃を仕掛けられると、守備軍に絶対に勝ち目はない。守備軍の敢闘精神は、賞賛すべきであるが、戦争の流れを変えることはできない。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)