2009年 10月の記事一覧

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09年10月26日 09時49分17秒
Posted by: 戦略研究.com
電通が、地方団体や観光団体などを対象に「地域ブランド化」の支援事業に乗り出す。地域が持つ観光資源やイメージ調査から、観光客増加のための地域ブランドの構築、情報発信の支援まで一括して請け負う。政治の世界では、いつのまにか道州制が話題に上らなくなり、代わって地域の活性化がホットな話題となっている。大都市に、アンテナショップを持つ県が増えてきた。しかし、実態は、ほとんど物産展の域を出ていない。都道府県が持つ商品を物産に限ると最大枠が見えてしまう。

現在はインターネットで、世界各地の画像を見ることでき、世界各地の物産もネットで容易に手に入る。このような状況であるからこそ、多くの人々に現地を訪れて、現地でしかできない体験をしてもらうことが重要な戦略になっている。需要けん引から市場創出への思考の転換が必要になっている。基本コンセプトは、市場の細分化と差別化である。地域を県から自治体にまで細分化して、各自治体の独自性を全面に押し出して、情報を発信する。対象者を世界の国々の人々と考えると、世界中から顧客を呼び込める。世界中の人々を魅了するには、英語で、短くて、しかも琴線に触れるブランドが必要である。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
09年10月19日 09時24分28秒
Posted by: 戦略研究.com
雇用状況の改善が進まない。サプライサイド軽視の政策を推進した結果、企業の競争力は低下し、大学新卒者の内定率の低下という憂慮すべき事態が起きている。これでは、若者の将来にも大きく影響し、日本の国力低下が懸念される。従来型のビジネスでは、雇用拡大は難しく、各企業はイノベーションの創出に尽力している。その結果、ビジネスが複雑系へと、はてしなく進化し続けている。このような時代には、セレンディピティ、つまり、偶発的発見をする能力が重要になる。

イノベーション創出の過程では、複数の物事を組み替え、つながりを持たせることが必要になるが、つながりが分かりにくいほど、組み直しのために大きな知的ギャップを埋める必要があり、予期せぬことが果たす役割は大きくなる。セレンディピティとは、この予期せぬことを発見する能力である。生物の進化は、セレンディピティを大いに利用している。進化とは創造的であることで、創造性の原動力は、ランダム性や冗長性である。冗長性を極限までなくすことは、生き残りに有利な条件とはいえない。冗長性がなくなれば、現在の環境にのみ最適化して、計画が少しでも狂うと身動きがとれなくなってしまう。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
09年10月13日 09時41分50秒
Posted by: 戦略研究.com
韓国のサムソン電子が、バックライトに発光ダイオードを搭載した液晶テレビに経営資源を集中して大躍進している。高価値商品と位置付けしているため、販売価格が下がりにくく利幅が大きい。北米市場では薄型テレビ全体の平均価格がソニーを超える原動力になっている。テレビCMを見ていると、日本のメーカーが、薄型テレビの世界市場で大活躍しているように思えるが、実際は、サムソン電子が24%で最大シェアを有しており、続いてソニーが15%、LG電子が12%、シャープは8%となっている。上位4社で世界市場の約60%を占めている。

選択と集中で大躍進しているサムソン電子に対して、「世界まるごと市場にする戦略」と「家まるごとパナソニック戦略」を推進するパナソニックの戦略は、まだ軌道に乗っていない。特に、海外売上高比率は46%で、ソニーやサムソンの80%に遠く及ばない。要素技術が高度化し、すそ野が広がるにつれて、地域全体がある技術に特化し、産業がクラスター化する傾向が顕著になっている。ソフトウェア産業は米国に集中し、薄型テレビは韓国と日本がクラスターになっている。グローバル市場でのクラスター化が、ますます顕著になっていくと予想される。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
09年10月05日 09時24分49秒
Posted by: 戦略研究.com
スターバックスがインスタントコーヒー市場に本格的に参入する。VIAという商品名で米国とカナダで、すでに発売を開始した。やや高めのコーヒーを売り物としてきた同社は、世界的な消費低迷のあおりで販売低迷が続いており、1杯あたり1ドルを切る低価格で、手軽さと割安さをアピールし、店舗販売だけでなく小売もする。多くの企業は、本業が不振になると、同じ顧客に新しい商品を提供しようと考える。そして、大抵の場合は低価格品に進出する。その結果、長年かかって築き上げたブランドイメージを低下させてしまう。

インスタント商品であっても、顧客はスターバックスのコーヒーを買ってくれると考えてしまう。しかし、スターバックスの商品は、洗練された空間で飲む少し高めのコーヒーである。つまり、顧客が参加して作り上げるスターバックス独自の空間が一緒になってコーヒーという商品を構成しているのだ。オフィスで飲むならネスカフェがあるし、自宅で飲むなら産地直輸入のコーヒー豆がある。しかも小売をする場合、流通業者が十分に利益をあげられる値付けが必要である。彼らも霞を食って生きているわけではない。美味しいコーヒーを飲んでもらうビジネスと、インスタントコーヒーを小売店で販売するビジネスは、本質的に違うビジネスである。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
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