先の米国大統領選挙戦において、オバマ候補がゲーム画面に広告を出したとして話題になりました。バーチャル空間への広告出稿、というわけですが、今日はそれを現実空間に置き換えるという話です。

「セカイカメラ」というソフトウェアを搭載したiPhoneでカメラ機能を起動し、周囲に向けてみると写真や文字情報がいくつも空中に浮かんで見えます。近くに位置する情報は大きく、遠くの情報は小さく表示されます。

これは、“エアタグ”という拡張現実技術で、将来的には店舗のセール情報や自販機の新製品広告などが表示されることになるものです。まるでドラゴンボールに出てくるスカウターのような現実離れした機能ですが、2009年2月にパリで行われた「世界を変革するインターネット技術ベスト10」にも選ばれた話題の技術です。

テクニカルな面でいえば、Wi-Fiなどの情報通信によって基地局と位置属性をやり取りすることで可能となるサービスなのですが、すぐにも実用化されるというわけではありません。それでも、いち早く評価したフランスでは、パリの博物館で採用したいとの引き合いがあるようですし、開発会社によると「観光地の案内、ショッピングセンターや街中での店舗への誘導、広告など、さまざまな利用法が想定される」とのこと。

不案内な土地やショッピングモールの中で使用できるなら役に立ちそうな気がします。それでも、すべてが広告では辟易しますので、道案内や欲しい情報をメインに表示しながら広告も表示される、あるいは表示してほしい情報のカテゴリーをあらかじめ指定する、などの活用法が現実的ではないでしょうか。

いわば、広告や看板、POPを無尽蔵に設置できるようなこのサービス。業界内の人間にとっては「どう利用してやろうか」とワクワクするところですが、普通の人にとっては売り込み情報はもううんざり、といった反応かもしれません。

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