最近の脳科学の研究で、人は、喜怒哀楽の感情が起こるとき、「感情が起こる原因を咀嚼してその感情が起こるのではなく、突発的に感情が起こり、その後感情が起こった理由を脳が探している」ということだそうです。
つまり、起こった感情とその原因だと私たちが思っていることは必ずしも整合性があるとは限らないということです。
肯定的感情であれば、人間関係形成で好ましいのですが、ネガティブな感情は、人間関係で大きな問題を起こすことがしばしばです。
例えば、「怒りが生じ、その原因を探し見つけたことによって、更に怒りが増してきた」という経験は誰にでもあると思います。
このほかに、私たちは、ネガティブ感情の原因と思われるものとは別のことを関連づけたり、他のことを思い出したりしてネガティブ感情を強化しがちです。
また、恐怖を感じるとさらにネガティブ感情を強化しがちです。
物事を合理的に解決するためには、ネガティブ感情を感じている場合、その事実を自覚し、その原因と思われるもの(感情の理由付け)をネガティブ感情と分けて自覚することです。
また、無意識が関連づけて関係ない記憶を呼び起こして想起させることがあります。そのような記憶もネガティブ感情に関連づけず、記憶を想起した事実のみを自覚することです。
恐怖を感じたときも同じです。
私たちは、すぐに関連づけたがりますが、関連づけず、感じている事実をそれぞれ別々に感じていることを自覚するのです。
そうすると、感情も次第に落ち着いてくるとともに事実が整理され、物事の本質が見えてきます(この間、一般的に6秒ほど)。その上で、感情を活用した方がよいと理性的に判断できれば活用すればよいし、冷静に対処した方がよいと思えば冷静に対処すべきでしょう。