「会して議せず、議して決せず、決して行わず」とは、日本では広く知られる戒めですが、日本企業にあってはこの様な事例はあまり多くないでしょう。
然し、建前と本音の使い分けが日本人以上に上手な中国人社員相手では、十分な対策を採る必要があります。経験上気付いた点を若干下記します。
1.日系企業、特に中小企業の役員が現地進出企業のトップに居られる場合に多いの は、 説教、訓示型の会議が多いことです。同意、承服を求めれば、先ず「分りました」とか「その様に致します」と異口同音に回答があるでしょう。
2.全社員対象の朝礼等では、勿論訓示や教育的な話は必要ですが、幹部社員との
会議では、十分納得したかどうか見極めながら会議を進行させる必要があります。
特に十分な理解もなしに、即座に賛同する幹部社員は「要注意」です。基本方針では
同意しても、各論や具体論で多少異議を唱える幹部は、見込みありと見て間違いないでしょう。それだけ真剣に受け止めているからです。
3.実施事項を決した場合、その結果報告を義務付けることが肝心です。案件次第ですが、「何時までにどの様に報告する」かも決めておくことです。集約担当(又は事務局)も決めておくべきです。何もかも「トップに直接報告せよ」では、幹部の育成は覚束無いでしょう。
4.十分な集約とトレースが済んだら、後日の会議で模範例を開示すべきです。全く駄目な部課長は個別に呼んで注意しましょう、それも「褒め殺し」の要領での指導が効果的です。一種の防衛本能かも知れないが、駄目な幹部ほど自尊心が強く、面子を重視し,所期の目的が未達だと、原因を他に求めるものです。
5.会議で時には“独創的”な提案があるでしょう。どうせ大したものじゃないと、決め付けず、大いに持ち上げて挑戦させて下さい。とかく指示されたことのみ実行すればよいとの傾向の強い中国人社員ですが、本来中国人は日本人以上に独創性が強いものです(自己主張が強い民族性と関係があるでしょう)。幹部社員に模範例を作らせるのに成功すれば、波及効果は小さくありません。
柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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