2010年 6月の記事一覧

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10年06月28日 09時40分48秒
Posted by: 戦略研究.com
長野県にある名門酒造家が民事再生法を申請した。天皇陛下にも献上されたこともあるすばらしい日本酒の酒造メーカーである、この酒造メーカーがこのような事態になった直接の原因は消費者の日本酒ばなれにある。しかし、消費の多様化がすすみ、若者の日本酒ばなれが進む現在でも、健闘している酒造メーカーがあることを考えると、時代の変化を読めなかった経営者の責任は大きい。どのような時代であろうとも、自社の商品は自社で売る努力をしないと、競争に負ける。いい商品をつくって、昔の馴染みの販路で商品を流通させると、そこそこの売上が確保でき、企業を存続させることができる時代は終わったという認識が必要である。(To be continued on senryaku-kenkyu's website)(Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
10年06月21日 10時06分54秒
Posted by: 戦略研究.com
首都圏にある地方自治体が、特産の梨を使ってブランデーを作ることを思い立って、商業化しようとしたが、うまくいかない。それではと、公募で一般人から社長を募集して、事業の建て直しを図ったが、業績を回復させることはできなかった。このケースの根本的な問題は、梨のブランデーがビジネスとして確立できるほどに売れるかということである。このように、自治体が特産の農産物を利用してブランデーやワインを造って売り出すという話は多い。

しかし、大抵は上手くはいかない。当然である。そのような商品は、すでに誰かが試して、うまく行かないことが実証されているからである。多くの果実が醸造されて商品化の試行錯誤の結果、商品化に適したものだけが現在の市場に残っているのだ。同じことがジャムにも言える。梨のジャムや桃のジャムなどは、多くの人々がすでにビジネスとして取り組んで、事業化に失敗しているのである。さらに、一次産品は市況に大きく左右される。仕入れコストが高いからといって、ブランデーやジャムの製造を中断するわけにはいかない。大手企業が商品化しないものを、地方自治体が商品化を試みることが、そもそも無理と考えるべきである。

商品を開発するには、市場の声を聞き市場の動向を詳細に観察して商品コンセプトを考えるべきで、自社の技術や独自のアイデアから商品開発の発想をすべきではない。事業は、市場と顧客を対象とした活動である。そのため、新商品は市場と顧客とについて、様々な検討をする必要がある。一番重要なことは、まず、市場の声を聞くことである。(Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
10年06月14日 10時43分33秒
Posted by: 戦略研究.com
ビジネスが戦争である以上、勝たなくては意味がない。その意味で、時には相手を圧倒するような仕掛けも必要になる。しかし、資金の裏づけのない仕掛けは、時がたつと必ず色あせる。ビジネスには、見栄は禁物である。見かけだけの仕掛けを作ってもすぐにメッキがはがれる。金型業界で大きな注目を集めていた企業が、約150億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請した。

創業から破綻するまで20年の軌跡をみると、新興企業がたどる典型的なストーリーを見ることができる。売上が急増すると、超一等地のビルに本社を移転し、事務所をまるで宮殿のように飾り、その優雅な労働条件で優秀な人材を魅了する。そして、経営者の頭にあるのは成長という二文字だけ。この企業の最大の問題点は、自動車業界にビジネスの60%を依存していたことである。焦点を合わせている業界が、間断なく成長してくれれば、問題はない。しかし、世の中そんなにうまくは行かない。一つの業界に依存するのは、20%が限界である。20%なら注文が途絶えても何とか乗り越えることができる。普段から技術を磨くとともに、焦点を合わせる業界を多角化する努力を怠ってはいけない。見栄をはることにだけ魅力を感じていると、市場から厳しい判断を受けることになる。(Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
10年06月07日 10時58分38秒
Posted by: 戦略研究.com
政府が内需拡大と声高にさけぶ割には、内需が伸びない。肝心の内需は伸びないのに、内需は拡大するという予測で、規模の経済性を求めてM&Aを推し進めた流通業界。どうも予定どおりにはいっていない。大手百貨店のM&Aがマスコミをにぎわしたが、再編した大手百貨店の業績が、大きく回復したという話は聞かない。消費者が押し寄せて購入するのは、テナント企業の低価格品。これでは、M&Aの本来の意図とは全く違う。仕入れコスト削減を狙って、本部一括仕入れを導入したが、地域ごとの需要が違い過ぎて機能していない。

流通業者のM&Aがうまくいかないのは、日本は東京を中心として回っているという天動説的な政策を、ビジネスがそのまま受け取った結果と言えなくもない。規模の経済性を求めて、同じ業界だからと安易にM&Aを実行しても、決してうまくは行かない。キリンとサントリーの破談を見ても分かるように、大企業になればなるほどM&Aは難しい。消費行動の変化は、多くの要素が入り混じっている。そして、その要素はますます複雑化し、その変化の速度は速くなっている。M&Aで経営効率をあげても、商品を買ってくれる消費者の消費動向に対処できなければ、M&Aの効果は薄い。(written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)

No. 60: Consumption trends change faster than foreseen. (June 7, 2010)
Domestic demand in Japan is not growing fast despite the government shouty announcement, “Expand domestic demand.” The retail industry prompted M&A to materialize economies of scale under the assumption that domestic demand will expand given the government’s dramatic drive. However, the fact is that demand is not expanding fast enough, and the M&A strategy is not working well. Management integration of leading department stores attracted public attention, none of them are reported to have improved their results dramatically. Consumers rush to department stores to buy low-priced products offered by the tenant retailers. This is not what an M&A is intended for. After management integration, two leading department stores introduced the central buying system by headquarters, but this system is not working well because demand varies with region considerably.

You may say that retailers are not successful in M&A because they took the government’s Ptolemaic policy based on the assumption that Japan is Tokyo-centered at face value. No companies can achieve an M&A easily only by pursuing economies of scale, even though they are in the same industry. As the negotiations between Kirin Brewery and Suntory showed, the bigger the two companies are, the more difficult an M&A is. Consumption trends change with lots of factors. The factors are getting more diverse and changing at an accelerating pace. Even though an M&A successfully increases management efficiency, it will not be as effective as originally planned if it fails to cope with changes of consumption trends.
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