会社が突然、資金不足を起こす原因はいくつもあります。

代表的なものは取引先の倒産による売掛金が回収不能や期日一括返済型の借入金の反復借入ができなかった場合。
常に会社の周りには資金不足を招くリスクが存在しています。

売上をあげるか、経費を削減するか。
どちらが賢明かは別として、売上が順調に伸びていても資金不足を起こす場合もあれば、ストイックに経費削減を遂行していて資金不足を起こす場合があります。

「利益」と「資金残」は同じことのようで、別次元だからです。

実は、売上をアップさせることや経費を削減することは躍起にやっていても、会社にお金を残すためのことは全くの無頓着だったという経営者は少なくないのです。

そこで、何気なく知恵を絞るだけで簡単にできてしまう資金不足に陥らないための秘策を5つ紹介します。

(1)売掛債権の徹底管理

売上代金を確実に回収できなければ、売掛債権が現金化されないために資金繰りに影響が生じます。
また、売上を上げても相手先が倒産することになれば、資金繰りは厳しくなります。

このようなケースの予防策としては、売掛金推移表の作成など、数字の推移を徹底的に管理することです。
また、取引先の与信管理を導入することもお勧めします。

(2)代金回収率の向上

販売代金が回収されないと、資金が寝てしまい資金繰りに影響を与えます。
「営業という仕事は代金の回収をして完了する」ということを、営業パーソンに徹底することが重要です。
営業パーソンは販売には一生懸命ですが、いざ回収となると「自分の仕事でない」と勘違いしていることもよく聞く話です。

営業パーソンの評価は、「売上高」「利益」の他に「代金回収率」も加えて行なうことが必要となります。
売掛債権の一覧表を営業パーソンに回覧したり、回収率のワースト先を表にしたりして、営業パーソンに意識を付けさせるべきです。
また、取引先別に与信限度を設定し、回収率の悪い取引先には、限度額を低くするなどの対策も必要です。

(3)前受金の積極採用

通常、商取引は「売上計上→売掛金→代金回収」という流れですが、売掛債権の回収より仕入等の支払いが先行するため、資金繰りに影響を与えます。
そこで、前受金として売上計上する前に顧客から資金を受け取る手法を検討します。

「この業界ではそんなことは無理だ」と考えるかもしれませんが、バスカード、Suica、Waon、Nanaco、商品券、家賃、駐車場など、あらゆるビジネスの形態に前受金方式は採用されています。
是非検討すべきビジネス形態であるといえます。

実はこれ。楽天の三木谷社長も創業時に実践していた方法なのです。
創業当初から顧客から事前に資金を回収するために、6ヶ月分の前払いシステムを構築したのです。
これを行なおうと考えたのは、三木谷社長が顧客から6ヶ月の無担保・無利子融資を受けたのと同じであるということを理解していたからです。
これにより、創業当初の資金繰りの厳しい時代を乗り切ることができ、今の楽天があるのです。


(4)在庫の削減

①在庫は借金と考える
在庫を持つと、様々なコストがかかります。
在庫は販売し、代金回収をしてはじめて仕入代金が払えることになりますので、代金回収までの間は借入金に頼らざるを得ません。借入金には利息がかかりますので、在庫は「借金」と同じことになります。

②在庫の管理コストもバカにならない
在庫を抱えると、在庫を保管する倉庫や在庫を管理するための人件費もかかりますし、光熱費、保険料などもかかります。さらに、不良在庫となってしまったものは最終的には廃棄処分をするしかありませんが、廃棄処分にもコストがかかります。
在庫を持つためのコストは、決して無視できないものなのです。

③廃棄処分にもコストがかかる
不良在庫は廃棄処分することになりますが、廃棄処分するにも、焼却処分費用や事業用ゴミの回収費用、それを実行する従業員の時間コストなど、様々なコストがかかります。

(5)ゼロベースでの仕入先・外注先見直し

仕入先や外注先は、ゼロベースで見直します。
業暦の長い企業であればあるほど、以前からの付き合いだから、と見直しをかけないケースをよく見かけます。
一昔もふた昔も前でしたら、取引先が支援をしてくれることもあったかもしれませんが、今はそんな時代ではありません。
少なくても3~4社から見積もりを取り、総合的な判断をする必要があります。

また、「仕入担当者しかわからない」「業者選定は○○さんに任せてあるから」というのは、大変危険です。

中小企業の場合、仕入を1人で行なっているケースが多いため、内部統制の観点からも、複数名で担当し、透明性を持たせるべきです。


ぜひ、今日からでも実践してみてください♪

written by 中部売上アップ支援センター