【問 36】 正解 3

×1 違反する。A社は、宅地の売買の媒介に際して、売買契約締結の前に、私道

の負担に関する事項について重要事項として説明する義務がある(業法35条1項

3号)。

×2 違反する。A社は、契約が成立する前に、営業保証金を供託している供託所

及びその所在地を説明するようにしなければならない(業法35条の2第1号)。

○3 違反しない。37条書面に記名押印をした取引主任者がその書面を交付する

必要はなく、取引主任者ではない従業員に37条書面を交付させても違反しない。

×4 違反する。宅地の売買の媒介に際し、当該売買契約に瑕疵担保に関する特

約があった場合、宅建業者間の取引であっても、当該特約の内容について37条

書面へ記載しなければならない(業法37条1項11号)。

【問 37】 正解 1

 5,100万円×3%+6万円=159万円。媒介の場合には、これに消費税5%を

かけると、166万9,500円となる。そして、代理の場合には、159万円×2×消費

税5%=3,339,000である。

 また、A社C社の合計額は、159万円×2にそれぞれの消費税を加えた額を超

えてならない。

×ア 違反する。A社C社とも、報酬の限度額を超えるし、両社の合計額も超える。

×イ 違反する。A社C社の合計額が限度額を超えている。

○ウ 違反しない。A社はBから1,660,000円の報酬を受領し、C社はDから

1,669,500円を報酬として受領しているので、限度額を超えていない。Dの特別

の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した特別の費用50,000円につ

いて、報酬と別個に受領できる。

 以上より、違反しないものは、ウの一つであり、1が正解。

【問 38】 正解 2

×ア 誤り。業者が売主で、買主が業者でない場合、瑕疵担保責任について民法

の規定より買主に不利な特約は無効となるが、例外的に売主が瑕疵担保責任を

負う期間を物件の引渡しから2年以上とする特約は有効である(業法40条1項、

2項)。したがって、設問で、瑕疵内容を限定せず、「引渡しから2年以内に発見さ

れた瑕疵についてのみ責任を負うという」とい特約があった場合には、引渡しから

2年以内に瑕疵担保の責任を追求しなければならず、引渡しから2年を経過する

と瑕疵担保責任は負わない趣旨と解すべきであるから、特約は有効と解すべき

である。しかし、建物の構造体力上主要な部分の瑕疵についてのみ責任を負う

というような限定は買主に不利であり、この特約は無効である。

○イ 正しい。業者が売主で、買主が業者でない場合、当事者の債務の不履行を

理由とする契の解除に伴う損害賠償の予定額と違約金の合計額は、代金の2割

を超えて定めることができない(業法38条1項)。設問は、代金3,500万円である

から、700万円とする特約を定めることができる。

×ウ 誤り。業者が売主で、買主が業者でない場合、代金の2割を超える手付けを

受領することはできない(業法39条1項)。そして、その手付けがいかなる性質のも

のであっても、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄

して、売主はその倍額を償還して、契約の解除ができる(同2項)。そして、この2項

の規定に反する特約で、買主不利な特約は無効となる(同3項)。以上より、売主は

買主に受領済みの手付金及び中間金の倍額を支払って解除できるという特約は有

効であるが、買主は手付金の放棄のみで解除できるのに、さらに中間金も放棄して

契約を解除できる旨の特約は、買主に不利な特約であり、無効である。

 以上より、誤っているものは、アとウの二つであり、2が正解。

【問 39】 正解 1

○1 正しい。保証協会は、社員の取り扱った宅建業に係る取引に関する苦情につい

て、宅建業者の相手方等からの解決の申出及びその解決の結果を社員に周知させ

なければならない(業法64条の5第1項、4項)。苦情の解決は必須業務である。

×2 誤り。宅建業者が保証協会に加入した場合、「宅建業者ではなく」、保証協会は

直ちに、その旨を社員である宅建業者が免許を受けた国土交通大臣又は都道府県

知事に報告しなければならない(業法64条の4第2項)。

×3 誤り。保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付に係る社

員又は社員であった者に対し、当該還付額に相当する額の還付充当金を、保証協会

に納付するように通知しなければならない(業法64条の10第1項)。「供託すべきこと

を通知」するものではない。

×4 誤り。宅建業者で保証協会に加入しようとする者は、「その加入の日から2週間

以内に」、ではなく、加入しようとする日までに、弁済業務保証金分担金を保証協会に

納付しなければならない(業法64条の9第1項)。

【問 40】 正解 3

×1 誤り。業者が売主で、買主が業者でない場合、未完成物件の売買契約において

は、代金の5%又は1,000万円を超える手付金等を受領する場合、手付金等の保全

措置を講じなければならない(業法41条1項)。4,000万円の代金に対して、300万円

の手付金を受領する場合、保全措置が必要である。しかし、未完成物件の保全措置は

については、銀行等による連帯保証と保険事業者による保証保険しか認められていな

い。指定保管機関による保管による保全措置は、完成物件についてのみ認められてい

るのである。

×2 誤り。保全措置の義務を負うのは、売主である宅建業者であり、販売代理の依頼

受けた業者や媒介の依頼を受けた業者には、保全措置の義務はない(業法41条1項)。

○3 正しい。業者が売主で、買主が業者でない場合に保全措置の義務が生ずるのであ

り、業者間の売買においては、手付金等の保全措置の義務はない(業法78条2項)。

×4 誤り。未完成物件の売買契約において、代金4,000万円である場合には、200万

円を超えれば保全措置が必要である。100万円の手付金を受領した段階では保全措

置は必要でないが、200万円の中間金を受領した段階で、その前の手付金と合わせて

5%を超えることになるので、保全措置が必要である。この場合、前に受け取った手付

金と中間金の合計300万円について保全措置が必要である。

【問 41】 正解 2

×1 誤り。宅建業者は、その事務所ごとにその業務に関する帳簿を備えなければな

らない(業法49条)。当該帳簿の記載事項を事務所のパソコンのハードディスクに記録

し、必要に応じ当該事務所においてパソコンやプリンターを用いて紙面に印刷すること

が可能なときは、当該帳簿の記載に代えることができる(規則18条2項)。

○2 宅建業者は、事務所に宅地建物取引業者免許証を掲げる義務はない。しかし、国

土交通省令で定める標識は、事務所ごとに(主たる事務所とすべての従たる事務所に)

掲げなければならない(業法50条1項)。もちろん、それ以外のところにも掲げる必要が

ある。

×3 誤り。宅建業者は、その事務所ごとにその業務に関する帳簿を備えなければなら

ない。この点は1で述べた通りである。しかし、宅建業に関し取引のあった場合、「その

月の翌月1日までに、」ではなく、取引のあったつど、その年月日等一定の事項を記載し

なければならない(業法49条)。

×4 誤り。宅建業者は、その業務に従事させる者に、従業者証明書を携帯させなけれ

ばならない(業法48条1項)。宅地建物取引主任者証と従業者証明書は別物であり、取

引主任者証をもって代用することはできない。

【問 42】 正解 2

×1 誤り。取引主任者が、他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使

用して取引主任者である旨の表示をした場合(名義貸しである)、指示を受けることもあ

るし、事務の禁上の処分を受けることもある(業法68条1項、2項)。

○2 正しい。宅地建物取引主任者証が、不正の手段により交付を受けたものであるとき

は、登録の消除処分の対象である(業法68条の2第1項3号)。しかし、消除処分ができ

るのは、登録をした甲県知事しかできない。乙県知事から登録の消除処分されることは

ない。

×3 誤り。取引主任者が、取引主任者として行う事務の禁上の処分を受け、当該処分

に違反した場合、登録の消除処分の対象である(業法68条の2第1項4号)。どの知事

が事務の禁止処分をした場合でも、登録をした甲県知事は、登録の消除処分をするこ

とができる。

×4 誤り。取引主任者は、乙県内の業務に関し、甲県知事又は乙県知事から報告を

求められることはある(業法72条3項)。この点は正しい。しかし、乙県知事から必要な

指示を受けることもある(業法68条3項)。

【問 43】 正解 4

×1 誤り。甲県知事免許業者が、国土交通大臣へ免許換えの申請をしなければなら

ないのは、乙県内に事務所(政令使用人を設置する支店などであり、単なる案内所で

はない)を設置する場合である(業法7条1項3号)。単に乙県で取引するからといって

免許換えをする必要はない。

×2 誤り。他の知事免許を受けた宅建者業に対して、業務停止又は指示処分をした

知事は、遅滞なく、その旨を免許をした知事に通知しなければならない(業法70条3

項)。知事から通知であり、業者が届け出るものではない。ちなみに、知事が大臣免許

を受けた宅建業者対して業務停止又は指示処分をしたときは、遅滞なく、大臣に報告

しなければならない(同)。

×3 誤り。懲役刑に処せられ、その刑の執行を終わった日から5年を経過していない

者は、免許の欠格要件に該当する(業法5条1項3号)。そして、法人が免許受けようと

する場合、免許の欠格要件に該当する者が法人の役員のみならず政令で定める使用

人であれば、当該法人は免許を受けることができない(業法5条1項7号)。

○4 正しい。宅地建物取引業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな

は、それだけで、免許を受けることができない(業法5条1項5号)。

【問 44】 正解 1

×ア 誤り。登録を受けている者は、登録事項に変更があった場合は、遅滞なく、変更

の登録の申請をしなければならない(業法20条)。この点は正しい。しかし、破産者と

なった場合はその旨の届出を、「遅滞なく、」ではなく、30日以内に、登録している都道

府県知事に行わなければならない(業法21条)。

×イ 誤り。宅地建物取引主任者証の交付を受けようとする者(宅地建物取引主任者

資格試験合格日から1年以内の者又は登録の移転に伴う者を除く。)は、都道府県知

事が指定した講習を、「交付の申請の90日前から30日前までに」ではなく、交付の申

請前6ヶ月以内に受講しなければならない(業法22条の2第2項)。

×ウ 誤り。宅建業法第35条に規定する事項を記載した書面(重要事項書面)への記

名押印及び同法第37条の定により交付すべき書面(契約書面)への記名押印につい

ては、専任に限らず、一般の取引主任者も行うことができる。

○エ 正しい。取引主任者は、事務禁止処分を受けた場合、宅地建物取引主任者証を

その交付を受けた都道府県知事に速やかに提出しなければならないが、提出しなかっ

たときは10万円以下の過料に処せられることがある(業法22条の2第7項、86条) 。

 以上より、正しいものはエの一つであり、1が正解。

【問 45】 正解 4

×1 誤り。宅建業者が自ら売主として、宅建業者でない買主に新築住宅を販売する

場合、買主に引き渡した新築住宅について、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は

住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負う(住宅瑕疵担保履行法2

条6項2号ロ、11条1項2項)。Bが建設業者であり、宅建業者ではないから、義務を

負う。

×2 誤り。宅建業者は、基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅

販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について届出をしなければ、「当該基準

日から3週間を経過した日以後、」ではなく、当該基準日の翌日から起算して50日

を経過した日以後、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結してはなら

ない(住宅瑕疵担保履行法13条本文)。

×3 誤り。宅建業者は、買主に対する供託所の所在地等について説明する場合、

売買契約を締結する前に、書面を交付してしなければならない(住宅瑕疵担保履

行法15条)。引き渡すまでに行えばよいというのは、誤り。

○4 正しい。宅建業者が住宅販売瑕疵担保保証金を供託する場合、当該住宅の

床面積が55㎡以下であるときは、新築住宅の合計戸数の算定に当たって、2戸を

もって1戸と数えることになる(住宅瑕疵担保履行法11条3項、施行令5条)。