これで、平成25年度の管理業務主任者試験の解説は終わります。私 の意思に反して一行あいたり、一字あいたりしています。私の技術では どうにもなりません。ご不便をお許しください。

【問 46】 正解 1

〇ア 適切。集会は、管理組合の最高意思決定機関であるため、管理組合 の管理者等は、その意思決定にあたっては、事前に必要な資料を整備し、 集会において適切な判断が行われるよう配慮する必要がある(指針二の1)。

〇イ 適切。長期修繕計画の実効性を確保するためには、修繕内容、資金 計画を適正かつ明確に定め、それらをマンションの区分所有者等に十分周 知させることが必要である(指針二の5)。

×ウ 不適切。マンションの快適かつ適正な利用と資産価値の維持を図るた め、管理組合の一員として、進んで、集会その他の管理組合の管理運営に 参加するとともに、定められた管理規約、集会の決議等を遵守する必要が ある(指針三)。進んで管理者に管理組合の運営を一任することが必要で あるというのは、不適切。

〇エ 適切。管理組合の経理について、管理組合の管理者等は、必要な帳 票類を作成してこれを保管するとともに、マンションの区分所有者等の請求 があった時は、これを速やかに開示することにより、経理の透明性を確保す る必要がある(指針二の4)。

 以上より、不適切なものは、ウの一つであり、1が正解。

【問 47】 正解 2

〇ア 正しい。マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受け ることを内容とする契約を締結した場合、当該管理組合に「管理者等が置か れていないときは」、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全 員に対し、遅滞なく、契約の成立時の書面を交付しなければならない(適正 化法73条1項かっこ書)。

×イ 誤り。「重要事項」について「説明会」を開催すべきときに、説明会の1 週間前までに、説明会の日時場所について、区分所有者等及び管理者等 の見やすい場所に掲示する義務がある(適正化法72条1項、規則83条2 項)。また、「管理事務の報告」について、管理者等がいない場合に、定期 に「説明会」を開催する必要があり(適正化法77条2項)、説明会の1週間 前までに、説明会の日時場所について、区分所有者等の見やすい場所に 掲示する義務がある(規則89条3項)

 いずれも、「説明会を開催すべきときに」、掲示義務があり、契約書面の 交付については、説明会を開く必要はなく、掲示義務もない。

×ウ 誤り。マンション管理業者は、管理業務主任者をして、重要事項とし て免責に関する事項を説明させなければならない(適正化法72条1項、 規則84条8号)。また、契約の成立時の書面にも免責に関する事項を記 載する必要がある(適正化法73条1項8号、規則85条8号)。

〇エ 正しい。マンション管理業者は、重要事項を記載した書面及び契約 の成立時の書面を作成するときは、管理業務主任者をして、そのいずれ の書面にも記名押印をさせなければならない(適正化法72条5項、73条 2項)。

 以上より、誤っているのは、イとウの二つであり、2が正解。

【問 48】 正解 4

ア マンション管理業者がその事務所ごとに置かなければならない成年者 である専任の管理業務主任者の数は、管理事務の委託を受けた管理組合 の数を〔A 30〕で除したもの(1未満の端数は切り上げる。)以上とする(適 正化法56条1項、規則61条)。

イ 管理業務主任者証の交付を受けようとする者で、管理業務主任者試験 に合格した日から〔B 1年以内〕に交付を受けようとする者については、国 土交通大臣の登録を受けた者(登録講習機関)が行う講習を受けなくても交 付を申請することができる(適正化法60条2項)。

ウ 管理業務主任者試験に合格した者で、管理事務に関し〔C 2年以上〕の 実務の経験を有するは、国士交通大臣の登録を受けることができる(適正 化法59条1項、規則68条)。

エ 管理業務主任者が、管理業務主任者として行う事務に関し、不正又は 著しく不当な行為をしたときは、国士交通大臣は、その者に対し、〔D 1年 以内〕の期間を定めて、管理業務主任者としてすべき事務を行うことを禁止 することができる(適正化法64条2項)。

 ABCDには以上の文字が入り、4が正解。

【問 49】 正解 3

×l 誤り。管理事務の委託を受けた管理組合に「管理者等が置かれている 場合」、マンション管理業者は、当該管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、 管理者等に管理事務に関する報告をしなければならない(適正化法77条1 項、規則88条)。この場合には、「説明会」は不要であり、また、「見やすい 場所に掲示」も不要である。もちろん、見やすい場所に掲示することで、管 理者等への報告を省略することはできない。

×2 誤り。管理事務の委託を受けた管理組合に「管理者等が置かれてい ない場合」、問47の肢イで見たように、定期に「説明会」を開催する必要が あり(適正化法77条2項)、説明会の1週間前までに、説明会の日時場所に ついて、区分所有者等の見やすい場所に掲示する義務がある(規則89条3 項)。区分所有者等からの求めがあったときのみ、掲示すればよいわけでは ない。

〇3 正しい。管理事務の委託を受けた管理組合に「管理者等が置かれて いる場合」、マンション管理業者が管理事務に関する報告を行うときは、報 告の対象となる期間、管理組合の会計の収入及び支出の状況及び管理受 託契約の内容に関する事項を記載した管理事務報告書を作成し、管理業 務主任者をして、これを管理者等に交付して説明をきせなければならない (適正化法77条1項、規則88条各号)。この「報告書面」には、管理業務主 任者の記名押印は不要である。

×4 誤り。管理事務の委託を受けた管理組合に「管理者等が置かれてい ない場合」、マンション管理業者は、当該管理組合の事業年度終了後、遅 滞なく、管理事務報告書を作成し説明会を開催しなければならない(適正 化法77条2項)。ここまでは、何回も見たように正しい。しかし、説明会の日 時場所について、区分所有者等の見やすい場所に掲示する義務はあるが (規則89条3項)、管理事務報告書について、区分所有者等全員に配布し

なければならないという規定はない。

 なお、重要事項の場合、説明会を開催する必要がある場合には、「見やす い場所に掲示」する他、「重要事項並びに説明会の日時場所」を記載した書 面を区分所有者等全員に配布しなければならないという規定があることに注 意(適正化法72条1項)。設問は、これと混同させようとして出題されているの である。

【問 50】 正解 1

×ア 誤り。マンション管理業者が、偽りその他不正の手段によりマンション 管理業の登録を受けたときは、国士交通大臣は、当該マンション管理業者 に対し、単なる「業務停止命令」ではなく、登録の取消処分をしなければな らない(適正化法83条2号)。

×イ 誤り。マンション管理業者が、マンション管理業に関し、不正又は著し く不当な行為をしたときは、国士交通大臣は、当該マンション管理業者に 対し、「2年以内」ではなく、「1年以内」の期間を定めて、その業務の全部 又は-部の停止を命ずることができる(適正化法82条5号)。

〇ウ 正しい。業務の停止の命令を受けたマンション管理業者が、その業 務停止命令に違反したとき、国土交通大臣はその登録を取り消さなけれ ばならない(適正化法83条3号)。

×エ 誤り。法人であるマンション管理業者の役員が、破産者で復権を得な いものとなったときは、国土交通大臣はそのマンション管理業者に対し、単 なる「指示」ではなく、登録の取消処分をしなければならない(適正化法83 条1号)。

 以上より、正しいものは、ウの一つであり、1が正解。

※ 破産手続開始決定によって、破産者となり、資格や権利の制限を受け る。復権とは、この制限をなくすことである。破産者でなくなるわけではない。 免責許可の決定が確定したときや(破産法255条1項1号)、裁判所が復権 を決定したとき(同256条1項)などに復権する。破産者でこの復権を得なけ れば、管理業者等の欠格事由である。

 宅建試験と同じで、過去問を繰り返すことである。問題の肢の四つすべてを 疑問が残らないように理解することである(全ての肢をつぶすという)。そのた めには、何回も繰り返してやることである。そうすることによって、だんだんと理 解が深まり、応用がきくようになる。そのためには、当然に基本となるテキスト (基本書)を並行して読み込む必要がある。

 ただ、宅建でもそうですが、どうしても理解できない問題が5問ぐらいはある。こ れらは捨てるべきである。捨てる問題は人によってさまざまであろう。特に、設備 などは、建築関係の知識がなければ難しい問題が多い。この際と思って、細か い知識を身につけようとしないことである。

 試験は、難しい問題ができないから落ちたということではない。何回も過去に 出題された問題や基本的な問題を落としているから試験に落ちる。過去の問題 は、最高の予想問題ということを肝に銘じてほしい。健闘を祈ります。 エースビジネス学院

民本廣則http://www.acebusinessgakuin.com