事業活動を含めたプロジェクト推進の考え方では“PDCA”という事を良く聞きます。

 言うまでも無く、これは「計画をたて(Plan)、実行し(Do)、その評価(Check)にもとづいて改善(Action)を行う」という一連の流れを繰り返すことなのですが、それらのうち、どの一つが欠けてもPDCAのサイクルは成り立たず、継続的な改善を望むことは出来ません。

「そんなことは、わかっているよ」

とおっしゃるかもしれませんが、大きな会社の方でも、中小企業の方でも、話をしてみると、意外と出来ていないところが多いような気が、特に最近しています。特に、Check、Actionのところで、サイクルが途切れてしまっていることが多いのではないでしょうか。

 ひょっとしたら、これは日本人の(と書いてしまうと反発を食らうかもしれませんが)特徴なのかもしれませんが、評価というのが苦手な人が多いのかもしれません。  私は、データウェアハウスの構築やデータマイニングといった、データ分析系の仕事を専門としていますが、これは、上に書いたような企業活動の評価を支援するための手段です(当然その他の目的もありますけれども)。

 ともすれば、勘に頼ったり、そうでなくても、曖昧に済ませてしまう可能性のある評価を、数値によって客観的なものにしてくれます。うまく利用すれば、PDCAのサイクルを非常にうまく回してくれる強力な仕組みになります。

 ちょっと前までは、非常に多額の投資が必要だった領域ですが、技術の進歩はハードウェアに必要なコストを削減し、ソフトウェアも様々な選択肢が広がっています。工夫と努力によって、大企業が数千万円、数億円という投資をして構築したのと同等の仕組みをもっと安いコストで作り上げることも不可能では無くなってきています。

 ただし、真に適正な機能とコストのバランスを取るためには、当然、経営とITの両方に精通した人材が必要であり、更には、経営者側の視点からシステムを語ることの出来る人材が必須です。

 比較的大きな企業でも、IT(というよりは、ハードウェアとその上で動作するソフトウェア)の導入にだけ目を奪われ、それを「どのように活用するのか」といった議論がなされないまま、多額の費用を注ぎ込んでしまっているところが少なくありません。先程の例に書いたデータウェアハウスでも、データを仕組みを作り、データを収集することだけに囚われ、集めたデータを使い切れていないところもたくさんあるようです。

 ITを生かすも殺すも使う人次第です。

 また、使い方に関しても単なる効率化から戦略的活用まで様々です。

 しかし、どのような使い方をするにせよ、コンピュータは単なる道具に過ぎません。

 それを利用するための戦略・方針が明確になっていてこそ、ITが経営に活かされるものとなります。そして、最終的な決断は、やはり人間が行わなければなりません。

 ただ、じっと考えているだけでは、状況は変わりません。

 まずは相談してみたり、調べてみたりという小さな第一歩を踏み出すことが大切だと思うのです。