戦後時代の武将・北条氏康は、息子の氏政が飯に汁を二度かけて、汁の量を調整するのを見て、「北条家は私の代で終わるだろう」と予見したという逸話があるそうです(倫理利研究所発行「職場の教養6月号」より)。
これは、氏政がご飯にかける汁の量を一度で正しく見積もれなかったことで、氏康が自分の息子に能力なしと見抜いたという話です。
しかし、私は、この話は違いと思います。
氏康が息子の氏政の能力を見抜いたのではなく、父親である氏康が早々と息子の氏政の能力を決めつけたために、息子はその能力を伸ばせなかった。
父親が無意識に息子の可能性を封じたというのが真実ではないでしょうか!?
私の顧問先で、オーナー社長である父親から毎日毎日さんざん罵られ、うつ病にまでなった息子さんがいます。
この息子さんに対して、アドラー心理学が言うように「短所を無視して、長所に着目すること」を心懸け、彼の場合、業界の戦略眼に鋭いところがあり、それを評価しその通り経営するように調整するとともに資金繰り管理により現実を見させることで、会社の厳しい状況を見事抜け出すことができ、息子さんも自信を持ち、今では、2社・300人の会社を経営しています。