仕事に必要なものは,入手すべし。
でも,それが入手できないものだったら?
それは作るしかない。

ぼくらの仕事は,意外と会議が多い。
普通の会議ならば録音など必要ないのだが,特殊な事情があってICレコーダーの録音が必要なものもある。
ICレコーダーというものは,非常に明瞭な録音ができる機械である。
しかし,広い会議室での会議を録音するのにはちょっと弱い。
部屋の広さや発言者の人数に応じて複数のマイクロホンを使わないと,声が不明瞭な割に雑音が多い録音になってしまう。
10人以上で机を囲む会議ならば,マイク4本は欲しいところだ。
だが,マイクロホンだけではだめだ。
複数のマイクをレコーダーに繋ぐには,オーディオ・ミキサーが要る。

まず,当社では市販のオーディオ・ミキサーを購入した。
市販製品は多くの種類はないのだが,持ち運びできるサイズのものがあった。
ところが,2度ほどつかったものの,どうも具合が良くない。
まず,持ち運びには大きすぎる。
いわゆる標準プラグ,Φ=6 mmのプラグで,カラオケマイクなどに対応するものが,ずらり4チャンネル並んでいる。
標準プラグに対応するマイクは,当然カラオケなど用のダイナミック型のデカイやつだ。
こんなのをいちいち会議場まで運んでいては,仕事にならない。
だが,市販製品には,もう選択肢がなかった。

では,作るしかない。
さっそく秋葉原で部品を調達して,コンデンサマイク4台と,オーディオ・ミキサー1台を組み立てた。
これで,4台のマイクを繋いで録音の実験をしたのだが,音質は至って良好だった。
ただし,録音レベルが少々低い。
あとからICレコーダーを聴き返して聴けないレベルではないが,やはり低い。
アンプを入れないパッシブ・ミキサーだから当然といえば当然。
結局,このミキサーは実戦には一度も使わず,お蔵入り。

オーディオ・ミキサー1号の写真

次に作成したのは,最初のオーディオ・ミキサーにトランジスタ1石のアンプを組み込んだもの。
これで,ばっちり明瞭な録音が出来るようになった。
このオーディオ・ミキサーは,数回の会議に使用したが,使っているうちに欠点を露呈した。
古い蛍光灯の下で使うと,蛍光灯のコイルからのノイズを拾うのだ。
素人工作のミキサーの悲しさ,アンプ部に電磁シールドをしていなかったからだ。
あとからアルミ箔でシールドを作ったりして,なんとか凌いだが,ある問題を解決するために,次のオーディオ・ミキサーが必要になった。

オーディオ・ミキサー2号の写真

ある問題とは,会議に声が小さいメンバーが加わって,彼専用にマイクを用意しなければならなくなったことだ。
すると,ミキサーには5チャンネル必要になる。
で,今度のミキサーは,マイク入力5チャンネルに,アンプはシールドしてケース内部に組み込みとすることにした。
完成がこれ。
ケースは,100円ショップで調達したおかずケース。

オーディオ・ミキサー3号の写真

ここ半年くらいずっと活躍している。