先代、先々代の借金、決算書には残っています。同族会社なら責任感を持てますが、そうでない方はたいへんだと思います。

でもそれでも社長職を引き受けるということは、愛社精神がないとできないと思います。そのような方は自分の給与は報酬の話はされません。会社が残って行ける方法しか興味がない感じです。

社長になる云々は関係なく、会社を残したい、従業員の雇用を守ってあげたいという一心で業務に当たっておられるのでしょう。

正直言いますと、他人が決裁した借金を返して行くようなものです。負の財産だけを残されて、それを解消して行かないといけません。

しかし、従業員から見ると、そのような姿勢に感銘を受けます。この方なら、付いて行って間違いなし。自分たちの将来を守ってくれるのではないかと・・・

中小企業では、人材不足は常です。社長候補の方は、そんなにはいません。逆に社長職を任せれることができるかどうかは、能力ではなくこの愛社精神のような気がします。

生え抜きで何十年も頑張ってこられ、会社に恩返しがしたいと思っておられるような方が適任だと思います。

大手企業では、順番待ちくらい人が溢れています。ポストの数よりも人の数の方が圧倒的に多い状態です。業績が悪ければ、即交代。シビアな世界です。

逆に中小企業では、適任者が見つからず、現状維持がほとんど。先のことはわからないと言ったことがよくあります。会社を存続させるためには、業績ではなく求心力が必要なってきます。それは、社長だけでなく幹部の方々の思いや姿勢にかかっています。

見かけは利益が出ているようで、実際は返済で火の車。経営者の方は、資金繰り表や通帳を眺めながら、いつもため息。誰もその窮状から救ってはくれません。

そのことを覚悟の上で引き受けないと、甘い環境ではないことは事実です。
どこまで会社を愛することができるか、その力こそが一番大事なような気がします。