企業再生と言ってもいろんな局面があります。まず、自社がどんな状況にあるのかを把握しておく必要があります。厳しい、厳しいでは話になりません。どんな状況であるか認識することからスタートです。

私たちも調査・診断させていただいてどのような状況か見させていただきまずが、まずBSの問題なのか、PLの問題なのかを把握するようにしています。

PLの問題とは、収益改善です。営業利益を出るようにすれば事業が順調に好転するような場合を指します。一方BSの問題とは、収益改善を行って利益が出たとしても返済余力がなく、大きな改革を行わなければいけないような場合です。

BSに手を付けなくて良い場合は、比較的やさしいです。利益を上げることを最優先に考えれば良いからです。

しかし、たいへんなのはBSの問題の時です。収益が出る状態にまで事業を圧縮したとします。そこで何とか利益が出るようになっても過大投資で債務超過に陥っている場合は、痛みを伴う改革が必要になってきます。

そう、収益改善だけでは済まないのです。固定費を圧縮し、損益分岐点を圧縮して利益が少しくらい出るくらいでは話にならないといった場合が出てきます。

BSにまでメスを入れるとなると覚悟が必要です。何を残すのか?何を守りたいのか?すべて希望通り行く状態ではないからです。

会社の歴史なのか、従業員の雇用なのか、ビジネスモデルなのか?残すべきものを明確にすることです。

今まで通り継続したいというのはわかりますが、窮境に陥っている場合では、それは無理です。置かれている立場を認識すべきです。

それとBS案件になってくると、自社と経営コンサルタントだけで解決できる問題ではないです。融資先の銀行の協力を得ないと前に進みません。自社に関わっていただいているすべての事業主から最適な出口を検討していただく必要があります。

企業再生の案件では、当然PLの問題では済まないことが多いです。BSに手を入れないとどうしようもないといった局面になっています。

それと計画書を作っても業界やマーケットの動向を加味すると、計画書の数値自体を厳しく作っておかないといけません。今までの延長のような安易な数値作りでは再生は無理でしょう。

借金が膨らんだので事業がおかしくなったのではなく、ビジネスモデルが時代に合っていない場合があるからです。その辺りの見極めも大切になってきます。

窮境の問題がBSにまで及んでいるかどうか、それを認識されてはと思います。
解決策や手法が大きく異なってくるからです。

企業再生では、支援者で決まると言われます。どこまで協力いただけるか、自社努力だけでは解決できないからです。助けてあげたい、残って欲しいと思われる事業体であるかどうかが一番の決め手のようにも思います。