「武内さん、この商品うちのオリジナルでまだどこも作っていない商品なんですよ。」

「本当にどこも作っていないんですか?似通った商品はないのですか?」

「もちろんですよ。永年、うちが開発してきた商品ですから・・・
だから、品質には絶対的な自信はあります。後は、売り方だけ。何とか武内さんの知恵で売れるようにしてほしいのですが、お願いできませんか?」

いつもこのような会話の場面があります。
商品には絶対的な自信がおありです。
それも誰も作ったことのない完全オリジナル。似通った商品なんてない!

実は、これが困りもんなんです。
比較対象がないと、お客様は理解できません。
他の商品と比べてどうなのかという情報が欲しいのです。
良い、良いと言われてもそれでは納得できません。

逆に簡単なのは、ある企業様の商品を想定して、それに対して自社商品はどうなのかということを伝えることです。

自社商品が一番です。と言ってもお客様に伝わらないのです。
だから、完全オリジナルで世の中にまだ出ていない商品というのは仕掛けづらいです。

それでいつも「どちらかで御社の商品と同じようなものを作っているところはないですか?あるいは同じようなジャンルの商品はないですか?」
とお聞きします。

想定される競合商品を探して戦略を打つ方が楽です。
お客様に伝えるにしても言葉が出てきやすいです。

おそらく開発された方は、自分の頭の中で組み立てられたものを現実化されようと日夜努力されたのだと思います。

しかし、実世界のマーケティングでは、お客様にわかりやすく伝えることがポイントです。
モノ余りの時代であり成熟期を迎えた商品であれば尚更のこと、今まで使っていたものとどう違うのかが大事です。

失礼な言い方かもしれませんが、モノは自己満足の世界では売れません。
何かと比べたいと言うのがお客様心理です。

ということは企業経営においても仮想競合を常に想定して経営する方がかえって良い成果を生むかもしれません。

無競合状態ほど不安定なものはありません。
良いライバルを見つけて切磋琢磨されるのがコツのようです。