弁護士会、司法書士会、行政書士会等の士業の場合、いわゆる「会」と「事務所」
の区別は明確になっている。例えば、会の場合、都道府県名を冠した〇〇都道府県
弁護士会とか、〇〇都道府県行政書士会とかいう名称になっている。そして、「会」
は都道府県に一つである。

 事務所の場合、〇〇事務所、〇〇弁護士法人、司法書士法人〇〇などとなってい
るので、一見して「会」と区別できる。それぞれの個人は事務所所在地の都道府県
の「会」に所属することになっているから、自動的にある会に所属することになる。
したがって、どの会が良いとか、悪いとか、そんなばかなことは問題にならない。

 マンション管理士会の場合、一般社団法人日本マンション管理士会連合会(日管
連)に加入すると、いわゆる「会」になるようである。

 ところが、マンション管理士会は、都道府県に一つという基準はないようで、大
阪や東京では、多数の「会」が日管連に所属している。しかも、「会」自体がマン
ション管理士の業務を行なっているところも多いようだ。

 これでは、「マンション管理士会」なのか、「マンション管理士事務所」なのか
の区別がつかない。

 いやしくも「会」と名乗ることができるのは、都道府県に一つにすべきである。
また、「会」と名乗る以上、公的な役割(会員の名簿作成、マンション管理士の地
位の向上、会員に対する懲戒・教育・研修、相談業務等)を担うものであり、営業
行為を行うべきではない。そして、会長は選挙で選ぶ。

 大阪や東京の会がバラバラで統一されていないのは、マンション管理士制度がで
きたときから、「会」の制度設計がなされず、ほったらかしの状態にされていたこ
とからくるものである。

 他の士業の「会」の場合、法律に根拠があり、会のあり方を強制しているのであ
るが、マンション管理士会の場合、任意の会であり、会のあり方について法律によ
って強制はできない(つまり、会に関する法律がないのだ)。

 しかし、会に関する法律がなく、法的な強制はできなくても、統一的な定款を作
成し、これに基づいて「会」の統一はできる。もちろん、任意の会であるから強制
力はないが、しっかりしたビジョンを示して、統一に協力することを求めることは
できる。強制力はなくても、統一はできるのである。

 日管連は、都道府県に一つの会を認め、会は公的な役割を担うもので、営業行為
は行わないという基準を作り、加盟を認めるべきだ。すでに、加盟している会がそ
れに反している場合、その改革を加盟している会に求めるべきだ。

 このような統一に反対するような会があれば、これを公表して、この会をはずし
て統一すればよい。マンション管理士会の将来よりも、自分達のエゴを優先するよ
うな会だということが分かると思う。

 マンション管理士事務所は、営業を行うために個人で又は共同して、あるいは法
人を作りマンション管理士の業務を行うものである。これは「会」とは全く別個の
ものであり、本来のマンション管理士の活動はここにある。他の士業を見ればこの
点は明らかである。本来の士業をやりながら、会の仕事をやっているのだ。

 ところが、マンション管理士の場合、この本来の業務をやっている人は今のとこ
ろ少ない。もっぱら会の仕事がマンション管理士の仕事になっている人が多い。中
には報酬を得てマンション管理士の仕事をすることに対して快く思っていない、本
末転倒した考えの人もいる。

 マンション管理士は、他の士業と同じように専門の職業を目指すものであり、報
酬を得て仕事をしてはじめてプロとして認められる。仕事をしない(できない)ア
マチュアが幅を利かすようでは、マンション管理士は世間の笑いものになる。

 まともな会があり、マンション管理士はこの会に所属はするが、自分で事務所を
開設して、マンション管理士の仕事をする。これが、本来の士業のあり方だ。

 ※一般社団法人エースマンション管理士協会のホームページhttp://acemansyonkanri.law.officelive.com/

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