標準マンション管理規約において、通常の管理費と修繕積立金を「管理費等」と表現
している。また、マンションの競売に関する新聞公告等においても「管理費等」の延滞
ありとして、「通常の管理費」と「修繕積立金」の延滞がある旨を表示している。

 修繕積立金を通常の管理費の附属物みたいに表現している。一般のマンションの購入
者も管理費等がいくらかという点に関心があり、個別の管理費がいくらで修繕積立金が
いくらかということに関心があまりないように見える。

 度々述べたが、多くのマンションで修繕積立金が不足していて、将来必ず問題になる
といわれている。長期修繕計画に基づいて修繕積立金を積み立てる必要があることも度
々述べてきた。修繕積立金こそマンションの価値を維持するために重要なものである。

 国土交通省の平成20年度マンション総合調査によると、管理費は一戸当り平均して
月1万円を少し超えたぐらいである。㎡当りにすると平均して約160円となっている。
 修繕積立金もほぼ同じである。いずれも、駐車場代金等からの充当額を除いたもの
である。少し古いマンションは、2対1の割合で管理費が多かったが、最近はかなり改
善されているのである。

 今日は、管理費について考えて見たい。一戸建ての住宅の場合、各自が管理するの
で管理費は要らない。ところが、マンションの場合、今見たように平均して、月1万円を
超える管理費を支払っている。

 管理費として、管理人に支払う額、清掃費、事務管理費(出納業務、帳簿の整理保管
等)、エレベーターの日常的な点検費、電気代、機会警備費等がある。

 この事務管理費というものを良く見てほしい。これにかなりの額が計上されているこ
とを注意してほしい。他の項目の金額は、いわば、常識的に判断できる額である。とこ
ろが、事務管理費というのは、予算の作成補助とか理事会の運営補助とか様々な項目
を付けて莫大な金額となっていることがある。こんなものは、個別的に税理士に頼む
なり、また、マンション管理士に頼めば大幅に減額できる金額である。20人の居住者
であろうが、100人の居住者であろうが、手間はそんなに変らない。ところが、その料
金は、機械的に人数の倍数を計上している場合がある。

 しっかり精査すれば、管理費の中から修繕積立金に回せる額がかなりある場合がある。
当然のことであるが、管理費は、管理会社に支払われる金額であり一度決まるとどんな
管理をしても、支払われる金額であり、返ってこない。修繕積立金はマンションの価値
を高めるものであり修繕することにより居住者に還元される。

 居住者は、例えば毎月1万円の管理費を支払っている場合、その範囲で管理会社に管
理費として支払われていると思っている。ところが、本来は修繕積立金として積み立て
るべき駐車場料等を管理費に組み入れていることが多いのである。つまり、管理費は1
万円ではなく、実質上はもっと高く支払っているということである。

 自分が毎月支払っている管理費等を、「管理費」と「修繕積立金」とに区別して、妥
当であるかをしっかりと見極めてほしい。

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