いわゆるキャッチフレーズについて。ぜひ、インパクトのあるキャッチが欲しいところですが、日本人が日本語を書くだけなのになぜかむずかしい。巷の広告物をチラ見しても、何を言っているかわからないものさえ多い。そこで、即効性のあるコツをひとつ。

「おしりだって洗って欲しい」で知られるコピーライターの中畑貴志さんは、新人コピーライターにコピーを書かせるときは、「早い話が…」を頭につけて考えるように指示するそうです。そうして何本も書かせて、最後の段階で「早い話が」を取り外すと使えるコピーが見つかるんだ、とおっしゃっています。

だいたいコピーとは、「どう書くか」よりも「何を書くか」が重要な場合がほとんどです。つまり、どんな言葉で表現するかではなく、どのことについて書くか、が問われるということです。美辞麗句の言葉選びでは、つい「言葉遊び」に終わりやすい。それよりも、顧客に伝えたい事柄は何と何か、を突き詰めることが重要なのです。

なんとなくいい感じ、のコピーは避けましょう。明快に顧客側の「メリット」を提示してください。よい商品だから買うべきだ、ではなく、この商品を買えばこうできる、楽になる、癒される、と訴えます。つまり、機能の先の利便性=ベネフィットを説くのです。

コピーのアプローチ方法にはいろいろありますが、問題提起型はぜひ、トライを。「なぜ、ムダなお金を払い続けるのですか?」的な問いかけです。心理的には、「いまならお得! 」よりも、「損していませんか? 」のほうが有効なのです。または、物語型。例「ひとつの失敗から開発は始まりました」。ニュース型なら「2008年、とうとう髪に優しいストレートパーマ」のように。

こうしたコピーやネーミング法は、書き始めればキリがありません。そのうえ、どうしても表現には科学的に計数化したり、標準化できない部分が残るものです。こうしたコピー&ネーミング作法をまとめてみないか、というお話しはいくつかいただいているので、後日、書籍の形でお届けできるかもしれません。
<3へ続く>