マーケティング調査に対する否定的な話ばかりしてきました。けれど、すべての調査が役立たずだと言うつもりはないんです。

たとえば、有効と思われるマーケティング調査のひとつにテスト・マーケティングがあります。これは地方の1都市を選んで実際に商品を発売し、広告も流して販売実績をみるもの。このやり方なら、見栄もうそもなく、顧客が実際に財布を開くかどうかがよくわかります。

静岡や広島などは、日本全体と年齢分布が近似である地方としてよく選ばれます。販売動向が芳しくなければ、あっさりと発売を中止してしまうわけです。

ただ、ある意味、これは資金力のある大企業の手法ですね。私は、企業の大小を問わず、とにかく市場に投入してみることをお勧めします。とにかく売ってみて、レジがチンと鳴るかどうかを試してしまうのです。

ドッグイヤーといわれる現在、どの企業も調査に多大なカネと人と時間をかけていられるわけではありません。いまやマーケティング調査好きの外資系企業も試行錯誤中であるわけで、例えば一度日本市場に参入しながら撤退したあと、山一のスタッフを吸い上げて有利にもう一度再参入したものの、いまはそれも縮小しているメリルリンチ証券をみてもわかりますね。

日本人のマネー運用性向や市場規模ぐらいはきちんと調査してもよかったのに、と思わざるを得ないけれど。いや、調査はしたけれど、分析に失敗したのかな。